喫煙所配信者の頭の中 #3
少し離れた位置から見守ることでできること。
今、spoonでは超大型企画の準備が始まっている。
サービス提供開始5周年を祝うもので、
参加人数は枠主・サポーター・運営などを合わせると
おそらく200名を超える。
配信者、枠主として参加すれば認知もされる。
知名度も上がるだろう。
企画主もそれを口にしたほどだったから。
企画主の配信者さんと仲良くさせていただいてる身ではあるけれど、
それでもあたしは積極的に関わることはしないという決断をした。
理由あってのことだ。
20歳の時の話だ。
大学の学祭実行委員本部役員だった。
広報の責任者をしながら、企画会議にも参加していた。
動かしたことの無い規模、金額、人数。
迫ってくる締切。
そんなものに追われて、余裕なんてなかった。
周りから持ち込まれる確認事項はどんどん増えた。
実行委員長が仕事を放棄して大口を叩くのを見た後輩が泣きついてくるのを、見捨てるなんて出来なかった。
結果。
あたしは誰にも泣きつけなくなった。
関係者には言えない。
自分が折れるわけに行かない。
そうやって、意地とプライドで抱え続けて、
全力で走り抜けた結果、
学祭が終わった直後に胃潰瘍で倒れた。
楽しかったし、充実感も凄かった。
でも、しんどさも大きかった。
当時をふりかえって思うこと。
内情を知らなくてもいい。
聡い人はちゃんと見ていた。
近くにいたら泣きつけない。近すぎるから。
少し離れたところから、
そっと見守って、何も聞かずに。
「頑張ってるね。お疲れ様。ちょっと休んでね」
そう言ってくれる人の存在は稀有だ。
だから、あえて枠主公募は見送った。
サポーター公募も見送った。
外側にいるからこそ、できることがある。
30代のあたしだから、できることがある。
20のあたしの経験があるから、できることがある。
『頑張って!』っていう人は多い。
だったらあたしくらい、こう言ってもいいじゃないか。
疲れたらおいでね。
両手を広げて待ってるから。
一緒にお茶でもして、ちょっと休憩しよう。