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エンカレッジ・テクノロジ(3682)の株価は10倍になるのか?


基本情報

企業名(証券コード)
エンカレッジ・テクノロジ(3682)
設立
2002年11月
上場
2013年12月
本社所在地
〒103-0007
東京都中央区日本橋浜町3-3-2 トルナーレ日本橋浜町

従業員数:125名
平均年齢:39.0歳
平均年収:698万円
従業員一人当たり売上:1998万円
HPhttps://www.et-x.jp/

事業内容
ネットセキュリティソフトやシステム証跡管理ソフトの開発・販売を手掛ける。主な顧客は金融機関や大手企業。
システム管理者の操作点検・監視を行い、不正や操作ミスを防ぐ「システム証跡管理ソフト」やアクセス権限制御や操作内容の自動突合を行う周辺製品も展開

主要提携先
NTTデータグループ

株価情報(2024/12/30)
終値:595円(変動率 +0.84%)
時価総額:41億円
売買代金:1百万円(22日平均:3百万円)
出来高:3,300株
年初来株価高値:675円(2024/07/05)
安値:500円(2024/08/05)
上昇率:+6.6%
予想指標PER(予想):17.14倍
PBR(実績):1.18倍
配当利回り:3.36%(2024年)

最新実績(2024年3月期)
売上高:2,498百万円(前年比 +17.8%)
営業利益:318百万円
純利益:218百万円
1株益:32.9円

予想(2025年3月期)
売上高:2,750百万円(前年比 +10.1%)
営業利益:350百万円
純利益:240百万円

財務情報
総資産:4,590百万円(2024年9月時点)
自己資本比率:73.1%
現金等:非公表

株主情報(2024年9月時点)
石井進也(25.9%)
光通信(7.4%)
UH Partners 2(7.2%)

市場テーマ:
情報セキュリティ、内部統制

1. 10倍になるための基本前提

  • 時価総額の視点
    2024年12月末時点での時価総額は約41億円。ここから10倍となると400億円超に到達する必要があります。上場企業としてはまだ中堅規模(時価総額400億円程度)とはいえ、不可能な水準ではありませんが、以下に挙げるような高い成長エンジンが求められます。

  • 売上・利益の大幅拡大
    現在の業績水準(売上高約25億円、営業利益3〜4億円前後)から、短期間で5倍~10倍規模に伸びる必要があります。時価総額だけ大きく上がるには投資家の期待先行というケースもありますが、最終的には売上・利益の成長が株価のベースになります。

  • PER(株価収益率)の上昇
    現状の予想PERは約17倍。たとえば業績が横ばいでもPERが急上昇し、200倍前後になれば理論上は株価が10倍になる可能性はあります。ただし、これほどのPERは通常、急成長や独占的な事業モデルなど“特別な理由”が必要です。
    現実的には、売上・利益が大きく伸びつつ一定のPER水準(たとえば30~40倍)を保つようなケースが理想的です。つまり、業績成長 × バリュエーション上昇の掛け算が10倍化には必要となります。


2. 10倍化ストーリーを描くうえでのポジティブ要因

  1. 市場ニーズ拡大(セキュリティ・内部統制)
    政府・民間問わずデジタル化(DX)の加速、情報漏洩リスクや内部統制の強化ニーズは増え続けています。ネットセキュリティソフトやログ管理(証跡管理)関連の需要は高水準を維持しやすい分野と言えます。

    • 大手企業・金融機関・官公庁への深耕と同時に、新興企業や中堅企業向けの製品・サービスも拡充することで市場規模は広がる可能性があります。

  2. ストック型収益の拡大余地
    保守サポートやクラウドサービスなどのストック型ビジネス比率が高まれば、業績安定と継続的な売上成長に寄与します。定期的な課金収入が積み上がることで、将来の予測可能性も高まり、評価が上がりやすいです。

    • 現状クラウド売上はまだ全体の4%程度ですが、ここが大きく伸びると中長期的な売上規模拡大に寄与しやすいでしょう。

  3. 海外展開・大手との協業
    現在は国内中心ですが、セキュリティ製品は海外でも普遍的に需要がありえます。海外金融機関やグローバル企業への導入実績が出始めると、一気に市場が広がる可能性があります。

    • NTTデータなどの大手SIer(システムインテグレーター)や、戦略的パートナーとの連携をさらに強化することで、大規模案件へのアクセスが増えればスケールアップが加速し、企業規模拡大が見込めます。

  4. M&Aや事業買収による成長加速
    既存のサイバーセキュリティ企業との連携や企業買収により、自社製品ラインナップや人材確保を強化できれば、飛躍的な売上拡大につながる可能性があります。

    • 財務体質(自己資本比率73.1%、無借金)が安定しているので、投資余力が比較的ある点は強みです。

  5. AI・自動化による価値拡大
    ログ分析やセキュリティ管理にAI・機械学習を組み込むことで、競合他社との差別化を図れる余地があります。

    • 近年AI分野に資金が集まりやすい傾向があるため、AIを活用したサービスへの転換がうまくいけば市場の評価(PER)も一気に高まる可能性があります。


3. 10倍化の障壁・リスク要因

  1. 人材確保の困難
    エンカレッジ・テクノロジ社は従業員数125名と小規模。大規模案件を多数抱えるにはエンジニアの増強が必須であり、IT人材の需給が逼迫しているなか、急拡大が難しい可能性があります。

    • 人材確保がままならないと受注を拡大できず、思ったように売上が伸びないリスクがあります。

  2. 事業領域の競合激化
    ネットセキュリティ分野には日米を含め多数の競合企業が存在します。特に海外プレイヤーの日本市場参入や大手IT企業による内製化が進むと、中小規模の同社が苦戦する可能性があります。

    • システム証跡管理ソフトはニッチであるものの、クラウドセキュリティやゼロトラストなど新しい概念が登場すると、既存ソフトの優位性が低下する懸念があります。

  3. 海外展開のハードル
    国内中心の事業を海外に展開するには、現地パートナーとの連携や多言語対応などハードルが高いです。投資コストも大きくなります。

    • 海外展開がうまくいかないと、国内市場だけでは爆発的な成長が望みにくいという懸念があります。

  4. 株式の流動性・評価の難しさ
    時価総額40億円台・出来高数千株程度という状況では、機関投資家が大きく投資するには流動性が低く、評価されにくい面があります。

    • ある程度の売買高・注目度がないと、PER上昇や需給面の急拡大は起こりにくいです。

  5. 大手との提携・M&A次第
    大手SIerや海外企業との提携、資本業務提携などが具体化しないと、中長期での高成長シナリオが描きにくい面があります。

    • 逆に言えば、このような“ビッグニュース”があればPERの跳ね上がりや売上の急拡大が期待できますが、実現性は不透明です。


4. まとめと展望

結論として、株価10倍(時価総額400億円超)に到達するには、以下の条件がそろう必要があります。

  1. セキュリティ・内部統制分野のマーケット拡大
    国内金融機関や官公庁に加え、中堅・中小企業向け、さらには海外企業への展開が進み、売上が今の数倍に伸びること。

  2. 新規事業(クラウド・コンサル・AI活用)での大幅上積み
    利益率の高いストック型ビジネスの拡充により、利益成長がさらに加速すること。

  3. 投資家の評価が大きく変化(PERの跳ね上がり)
    AI・クラウド関連の文脈で市場の注目を集め、PERの水準が従来の15~20倍から大きく引き上げられること。

  4. 人的リソースやM&Aでの飛躍
    人材確保や技術力強化、競合買収などによって事業規模を効率的に拡大すること。

もし上記が同時に進行すれば、5~10年のスパンで株価10倍が見えてくる可能性はゼロではありません。しかし、それだけの成長ストーリーを描くには明確なエンジン(M&A、海外進出、大手との提携、大型受注の連発など)が必要であり、現状の延長線上だけではハードルが高いと考えられます。


【最終的な見方】

10倍になるのは難しそう…

現状の強み
- 専門性の高いセキュリティ・内部統制ソフト
- 大手金融機関・官公庁との取引基盤
- 健全な財務体質(無借金・高自己資本比率)

10倍化には
- 市場拡張(国内中堅・海外など)の成功
- 人材確保・M&A・AI/クラウド活用などの成長ストーリー実現
- 投資家の高評価(PERアップ)の継続

“第二の主力事業”の確立と、海外展開やM&Aなどのビッグニュースがどこまで現実化できるかを継続的に注視していく必要がありますが、現状としては難しいと考えます。


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