題名 【そして結び合う】

7人用 BL台本になります。

「登場人物」 

瀬川 結翔(せがわ ゆいと)

西宮 綾人(にしみや あやと)

結城 弥音(ゆいしろ やいね)

広瀬 羽音(ひろせ はおん)

汐瀬 凜(しおせ りん)

西宮 奏斗(にしみや かなと)

ナレーション


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(ナレ)ここは、名家の子供たちが集う学校。

この学校はふたつの学園が合併して出来ている。

ひとつは女子学生専用の百合(リリー)学園

もうひとつは男子学生専用の薔薇(ローズ)学園である。

 

今回は薔薇学園の6人の物語である。

 

まず、この薔薇学園をまとめているのが生徒会長の西宮綾人である。

 

彼には昔からよく思っていない男がいた。

それがホスト部の部長、瀬川結翔である。

この2人は幼なじみであるが、何故か仲が悪い。

 

あれは2人が中学生の頃…



結「おーい、綾人はいるか?」


綾「…また君ですか。今日はなんの用です?」(呆れた感じで)


結「お前さ、最近俺のことを避けてないか?」(怒り気味で)


綾「…避ける?当たり前じゃありませんか。男同士なのに距離がおかしいと思いませんか?というか周りから言われたんですよ。」


結「距離がおかしい?誰に言われたんだ?」(食い気味で)


綾「はぁ。。。(ため息)誰でもいいでしょ?では、これからは俺に話しかけないでくださいね」


(ナレ)そう言われてしまった結翔はその頃からずっと綾人に近づこうとすると逃げられている。

話す時間も無くなり、2人の間に亀裂ができてしまっていた。

 

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(ナレ)その後、2人は入学し、あっという間に、3年になっていた。

綾人は生徒会長に、結翔はホスト部を立ち上げ部長になっていた。

 

(間)

 

(ナレ)綾人たちが3年になった年に弟の奏斗が入学してきた。兄の推薦で1年生にも関わらず生徒会役員になり、兄をしたっている。


そんな奏斗だが幼なじみで遊んでくれた結翔に懐いていてホスト部の話を聞いたため、ホスト部にはいりたがっている。

 

しかし、綾人はそれをよく思っていないようだ。それに対して、奏斗は怒っている。

 

今日も朝から西宮家では奏斗の声が響き渡る。


奏「どうしてホスト部の入部を認めて下さらないんですか!お兄様!」


綾「あんな馬鹿げた部活など、許すわけが無いだろ?それより勉学に集中しろ。」


奏「お兄様ってホスト部に結翔お兄様がいるから許せないんでしょ?どうしてそんなに嫌ってるのです?昔は仲良かったのに。。。」(卑屈そうに)


綾「なんでもいいだろ。とにかく、ホスト部の入部は認めん。諦めろ。」


奏「お兄様とは話になりません!もういいです!先に学校に行ってますからね!」


(ナレ)奏斗は飛び出すように学校へ向かった。

 

(ナレ)向かっている途中、家が近い結翔にばったり出会った。


結「なんだ?朝から兄と喧嘩か?」(微笑しながら)


奏「あぁ聞かれてしまいましたか。。。」(恥ずかしそうに)


結「外まで響いていたからねぇ。何をしでかしたんだ?」


奏「大した事じゃないですから、あははは (苦笑)」

 

結「ならいいんだけどな。」


結「ってか、ホスト部の入部許可貰えたか?(笑)」


奏「全然ダメです。。。その話で揉めてたんですよ。。。」


結「あいつもホスト部に入ればいいのにねぇ。楽しいよ?」


奏「何度も言ってるんですけどね。。。ホスト部を嫌っているように見えます。。。」



凛「おーい!」


奏「ん?」


凛「結翔先輩おはようございます!あれ?弟さん?」


結「いや、綾人の弟だ。」


凛「綾人先輩の弟さんだったんですね!ところでなんの話しを?」


結「あぁ、こいつらが喧嘩してる所を聞いた後にばったり会ったんだ。」


凛「なに?綾人先輩と喧嘩?(笑)」


奏「そうなんですよ。。。ほんと頑固な兄をもったものです。」


凛「あははは!大変だな!」



(ナレ)そんな会話をしながら3人は学校に向かった。

 

 

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(ナレ)放課後、凛と同じ2年生の結城弥音、広瀬羽音の3人はホスト部の部室へ向かっていた。


弥「あぁ、やっと授業おわったぁ。」


凛「弥音はずっと寝てたじゃん(笑)」


羽「あ、俺この後生徒会の集まりがあるんだ。先に二人で行ってて!後で行く!」


凛「えー!」


弥「えーって言わないの。何時くらいに終わりそう?」


羽「んー。そう長くはなさそう。1時間で終わると思う」


弥「じゃー1時間経ったら迎えに行くね」


羽「分かった~。待ってるね。」



(ナレ)そして、羽音は2人とわかれたあと、生徒会室へ向かった。

 

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(ナレ)生徒会の会議が終わり羽音はホスト部へ向かおうとしていた時、綾人に呼び止められた。


綾「羽音は今からホスト部の所に行くのか?」


羽「あ、はい。そこに同級のやつが待っててくれてるんです。」


綾「あー。呼び止めてすまない。一つだけ聞きたい。ホスト部ってどうなんだ?俺には良さがさっぱりなんだ。」


羽「俺は。。。あの二人に誘われて行ってるってだけなので。。。」


綾「本当にそうなのか?案外好きなやつが居たりして。。。なんてな。男同士の恋愛などいいことないからな。あははは(空笑い)」


羽「あははは(苦笑)」


羽「あ、もう行かないとです。それでは失礼します。」


(羽音が生徒会室から出ていく。)


綾「ホスト部。。。あいつがいる部活。。。もう何年話してないんだろうな。そんなことはいい。早く学園祭に向けて動かなければ」(独り言のようにボソッと)



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羽「お待たせ!待ったか?」


弥「全然!今来たところだよ。」


羽「ほんとう?それは良かった。早く行こうぜ。遅いと凛に怒られちゃうよ」


弥「そうだな(笑)」


(2秒間)


弥「そうだ。なんの話ししてたんだ?」


羽「あーほらそろそろ学園祭だろ?それの話し合いだよ。」


弥「あー。ローズ学園一大のイベントだもんなぁ」


羽「そうそう。そっちで忙しくなりそうだからしばらくはホスト部に行けそうにないかも」

 

弥「そっかぁ。まぁ仕方がないか。」

 

羽「うん。。。ほんとごめんね」


弥「いいよいいよ!気にしないでな」


羽「うん。」


(ナレ)そうして2人はホスト部の部室へと向かった。

 

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(ナレ)それからは学園祭に向けて忙しい日々を送っていた。

 

(ナレ)ローズ学園の学園祭は学校一の大きなイベントであり、大手企業の社長や他国の大企業の人たちが訪れる。

他学校からの女子生徒会たちも来るため、ホスト部は大繁盛していた。


凛「相変わらずお客さんが多いな」


弥「そうだなぁ。嬉しい事だが、多すぎて結翔さんが。。。」


凛「結翔さん、休憩時間取らずにずっと接待してるけど、大丈夫かなぁ。。。」


弥「あ、ちょうど接待終わったみたい。声掛けてくる」


(2秒間)



弥「結翔さん!お疲れ様です!あとは俺たちに任せて休憩に行ってください!」


結「おぉもうそんな時間かぁ。じゃあ行ってくるよ。あとは任せた。」


弥「はい。」


凛「よし!結翔さんの分まで頑張るよ!」


(ナレ)結翔が休憩に行くと同時に羽音がホスト部に来た。


羽「2人ともおまたせ~!」


凛「やっときたなぁ~遅いぞ!このこの~!」


羽「生徒会長の無茶ぶりが凄くて遅くなったんだよ」


弥「来て早速で悪いが、手伝ってくれないか?

客が多くて捌ききれないんだ。」


羽「おっけい分かった!」


(ナレ)結翔が休憩に行ったあと、羽音が交代で入り、とても忙しかったが何とか乗り切っていた。

 

(ナレ)そこへ、奏斗が覗きに来ていた。



凛「あれれー?綾人先輩の弟じゃん。」


奏「あっ。。。えーと。。。」


凛「この前ぶりだね!どうしたの?」


奏「あ、あのー。。。」


凛「どうしたの?」


奏「俺もホスト部に入りたいです!!」


凛「おっと、何かと思えば(笑)いいの?ホスト部に入部なんて。お兄さん怒らないの?」


奏「あんなわからずやはいいんです!俺はホスト部に入りたいんです!」


凛「ん~。前にあった時から可愛いって思ってたから合格っ!」


弥「始まったよー。ほんと凛は可愛い子が好きだねぇ。」


凛「見てよ!このビジュ!可愛い!でも顔は整ってる!もうこれは採用するしかないっ!」


弥「でも部長が。。。」


奏「これ。。。結翔兄さんから。。。。」


凛「あ、これ許可書やん。ってことは?」


弥「ってことは。。。?」


羽「あれ?奏斗じゃん。どうしたの?」


奏「羽音先輩だ~先輩こそどうしてここに?」


羽「俺はホスト部に入ったんだよ」


奏「え?僕もホスト部に入部希望で来たんです。

ちゃんと部長の結翔兄さんから許可貰って来たんです!」


羽「ほんとだ~。じゃあ一緒にホスト部にいれるね~」


凛「じゃあ!ホスト部入部決定!ってことで!今日からよろしくな!」


奏「はい!よろしくお願いします!」


弥「凛!奏斗の世話係お願いね!」


凛「え?俺でいいの?」


弥「お前こう言うやつ好きだろ(ボソッ)」


凛「ま、まぁ確かに?」


弥「じゃ、よろしく!」


(ナレ)奏斗が加わり更に賑やかになったホスト部は

1番の繁盛を見せていた。


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


(ナレ)一方その頃。休憩時間の結翔は生徒会室に訪れていた。


結「やっぱりここにいた」


綾「もう、関わらない。という約束、破らないで下さいませんかね?結翔」


結「あれー?そうだっけ?昔のことだから覚えてないや」


綾「全く、あなたらしいですね」



結「そういえば、お前の弟がホスト部に入りたいと言ってきてな、許可しといたぞ」


綾「あいつが?はぁ。。。全く。俺は許可した覚えはないぞ」


結「まぁ、良いでは無いか。ホスト部は楽しいぞ?お前も入れば分かるぞ?」


綾「お前は知ってるだろ?俺がオメガだってこと。」


結「だから発情(ヒート)を抑える薬を飲んでるんだろ?だったら大丈夫だろ?」


綾「俺だけじゃない。奏斗もそうだ。あいつはおっちょこちょいだから薬を飲むのを忘れるんだ。」


結「お前だって忘れてた時あるだろ?」


綾「あ、あぁ。。。。そんな何年前の話よく覚えてるね。」


結「そりゃもちろん。あの日は忘れられない日。俺たちが。。。初めて繋がった日(小声)」


綾「うっうるさい!思い出させるな!」


結「あーあ、顔真っ赤にしやがって、俺を誘ってるの?」


綾「ちょっどこ触ってるんだよ。やめっ!」


結「このまま外行くのは危険すぎない?すんごい甘い匂いするよ?」


綾「誰のせいだと思ってんだよ。。。」


結「ほら、じっとしてろ。ちゅっ(Dキス)」


綾「ん!?(驚く)」

 

綾「ん?」


結「それ薬、お前飲むの忘れただろ?」


綾「あ…うん…ん?」(首を傾げている)


結「何でそんなに驚いてるのだ?(笑)」


綾「いっ…言いなりキスしてくるからだろ!」


結「お前が薬飲んでないのが悪い」


綾「だからって渡し方ってのがあるだろ!」


結「んふふ(笑)」


綾「もう、発情(ヒート)治まりましたので行きましょう。」


結「ほんとに治まったのか?まだ甘い匂いが残っておるぞ?」


綾「大丈夫です。ほら早く行きましょ。休憩時間なんでしょ?終わっちゃいますよ。」


結「そうだな。何を食べたいか考えておけ」


(ナレ)そうして2人は生徒会室から出ていった。

 

 

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(ナレ)しばらくして、結翔が休憩から戻ってきたので、交代で弥音と羽音は休憩を貰った。

 

弥「はぁ…やっと休憩だぁ」


羽「お疲れ様。そうだね…お客さん結構多かったもんね」

 

弥「だな、これを結翔さんがほぼ1人で回してたとか…スゴすぎるわ。」


羽「そうだね…ふぅ~、暫くは懲り懲りかなぁ」


弥「よし、せっかくだし出店でも回るか!」


羽「いいね、行こっか!」


(ナレ) そうして2人は学園内の出店を歩いて回った。


弥「なぁ、歩き疲れたからちょっと休もうぜ」


羽「それもそうだね、なら、軽く摘めるものでも買ってどっかで休もうか」


(ナレ)2人は校舎裏に移動し、それぞれ買ったものを分け合って何気ない会話をしていた時、急に改まったように弥音が口を開く。


弥「な、なぁ、羽音。」


羽「ん?どうしたの?急に改まって…」


弥「俺さ…好きなやつがいるんだよ。」


羽「へぇ〜それって恋バナ?急だねぇ(笑)それで?相手は?他校の娘(こ)?」


弥「めっちゃ食いついてくるじゃん…まぁいいけど……その…さ、相手はさ…他校なんかじゃなくて……この学校…なんだよね……」


羽「…え?この学校……?」


弥「……うん」


羽「へぇ〜?その話、詳しく聞かせて?」

 

弥「……へ?羽音は…引かないの…?」


羽「え?なんで?別に誰が誰を好きになろうと、このご時世なんだから普通でしょ?」


弥「お、おう。それもそうだな。」


羽「それでそれで?」


弥「いや、さ……好きなやつが男だから…男が男に告白なんてしたら…気持ち悪がられるだろうなぁ……ってさ……。(ため息)」


羽「んー……確かに、、、受け入れられない人もいるからねぇ~、結構難しいかもね(苦笑)」


弥「だよなぁ……やっぱり、男が男をすきになるなんて…有り得ねぇよなぁ」


(しばらくの沈黙)


羽「あのさ……誰にも言ってなかったんだけどね……」


弥「ん?なんだ?」


羽「実は俺…彼女いるんだよね…他校に(照笑)」

 

弥「うん、知ってる。」


羽「え?知ってたの!?なんで!?誰にも言ってなかったのに!?」


弥「なんでって……お前、それで隠してたつもりなのかよ……スマホ気にしたり、放課後一緒に帰ってたり、休日に街中で二人でいるところも見た事あるしなぁ」


羽「えぇ!?そんなにバレバレだった?ってか、街中で見かけたなら声かけてくれればよかったのに!!」


弥「するわけねぇだろ、邪魔することになるし……まぁ、俺としてはそれでも良かったけど……(小声)」


羽「え?最後の方なんて言ったの?」

 

弥「なんでもねぇよ」


弥「最初はさ、別に俺も普通に異性が好きだと思ってた……。

 

だが、入学式の時、俺がそいつを初めて見た時、なんて言うか……綺麗って言うか可愛いって思ってしまったんだよなぁ

 

同性なのに、そう思ってしまって胸が一瞬トクンと高なった気がした。


俺はそんなに彼女に飢えてたのかと思って少し恥ずかしくなったよ」


羽「そっかぁ〜ん〜うちの学校にそんな可愛らしい子なんていたっけ?」


(ナレ) 顎に手を当て考え込む羽音にクスッと笑いながら、弥音が話を続ける。


弥「そんでさ、そいつとまさかの同じクラスでな……、試しに話しかけてみたら、背もちっこいし、目はぱっちりでまつ毛長いし、話し方まで柔らかくてまじで女子かと勘違いしてしまいそうになって、しかも、話題まであっちまったんだよ」


羽「ん?」


弥「だから俺はそいつと仲良くなって、何かと一緒に行動するようになってった。


そんな中、林間学校での肝試しでグループの中にそいつも居て……またwそいつがw怖がりでなwww怖がってる姿が可愛らしくて……

 

体育祭の時も、騎馬戦では上でさ、体重まで軽くて……リレーの時なんか、大事な所で足を挫いてコケるわ……ほんと鈍臭いというかなんというかwww

 

そうやって一緒に過ごしてるうちに気がついたら、俺の中の生活の一部になってて、そいつのことばかり考えて…」


羽「ど、鈍臭いとは失礼だよ!!

 

それに、あの時お姫様抱っこなんてされて保健室までなんて…みんなに見られながらだよ!?

 

めちゃくちゃ恥ずかしかったんだからね!!

 

え、ん?いやいや、ちょっとまって、え?つまりそれって……」


弥「ようやく気づいた?やっぱりお前鈍臭いなwww」


羽「だ、だから鈍臭いは失礼でしょもぅ!!」


弥「でも、ある時休日の街中でお前が女の子と歩いてるところを見て、胸がこう、、、ギュッと何かに掴まれたように苦しくなった。

 

モヤモヤが凄くてその場から走り去って……それでようやく俺はお前のことが好きなんだってわかったんだ」

 

羽「そっか……でも俺」


弥「(言葉を遮るように重ねる)わかってるよ。だから、お前に答えを求める気はないし、今まで通り接してくれればそれでいい。

 

でも、俺はお前を諦めるつもりもないから覚悟しとけよな!」


羽「う、うん、そっか。。。なんか変な感じだね。でも気持ちを伝えてくれて嬉しいし、なんか照れくさいね。」


弥「さて、そろそろ戻るか」


羽「そうだね」


(ナレ)あっという間に休憩時間が終わり、部室へ戻っていく。

 

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(ナレ)無事に学園祭の全てが終わり片付けをしている。

 

(ナレ)放課後、夕日が差し込む教室で、結翔と綾人が2人で話しているのをコソッと奏斗が聞いていた。


結「なんだ?急に呼び出したりして。もしかして俺に抱かれたくなったか?(笑)」


綾「ちがいます…4年前に俺に近づくなと言ったの覚えてますか?」


結「あー。そんなことがあったかなぁ。他のやつにキモイと言われて。。。だったっけな」


綾「ええ…あの時、俺はお前に守られるのが当たり前だと思っていました。」


結「まぁ、俺はお前が発情(ヒート)を起こさないよう見守るのが役目だったからな。お前は俺に守れるのが当たり前。そうだろ?」


綾「そう。守られて当然。。。だから俺たちずっと一緒に居た。でもある日、他の奴らに【気持ち悪い】とか【男同士だろ?距離感考えろよ】とか。。。いろんなことを言われた。それで俺は怖くなったんだ。このままだと差別されるんじゃないかって。。。それと同時にお前に依存していることに気づいたんだ。そして無意識に俺は。。。俺は。。。(泣)お前。。。結翔の事が。。。(泣)」

 

結「おいおい、泣くなよ。一旦落ち着け。」


(ナレ)そう言って結翔は綾人を抱きしめた。

綾人は結翔の胸の中で不安の解放からか、沢山泣いていた。

 

(ナレ)その様子を見ながら結翔は綾人の背中を黙ったまま優しくさすっていた。



結「そろそろ落ち着いたか?」


綾「ん。。うん。。。ぐすん(泣)」(ぐすんは鼻すすりでも可)


結「ほらほら、かっこいい顔が勿体ないぞ?」


綾「うん。。。ごめん。。。」


結「さっき言いかけた事、言ってごらん?もう一度俺に聞かせて」


綾「うん。。。」


結「ほら、深呼吸して。言ってごらん?」


綾「すぅーーふぅー。。。(深呼吸)おれは、俺は。。。っ(泣)」


結「ほらぁまた泣く。泣くなよ」


綾「うう。。。。(泣)」


結「それで?俺のことが。。。何?」


綾「結翔のことが。。。す。。。っ」


結「す?」


綾「すき。。。(小声)」


結「んー?聞こえないなぁ」


綾「んんん!!もう!好きだって言ってっ!ん!!?」


結「(Dキス、だいたい10秒くらい?)」


綾「ん゛んんん!!!ぷあ!」


結「あはははっ!お前はホント可愛いな」


綾「不意打ちにキスすんな!」


結「で?俺のことが。。。なに?」


綾「結翔の事が。。。好き」


結「言うのが遅いぞ、ばぁか。俺も好きだよ」

 

(ナレ)そして2人は仲良く話していた。それを聞いていた奏斗は2人がいる教室から離れた。


奏「これでお兄様は大丈夫だね。あとは僕だけか。。。」


奏「うっ。。。(小声で)やばい発作だ」


凛「あれ?奏斗くんだ~どうしたの〜?」


奏「あっ、凛先輩。ごめんなさい!ぼーっとしてて。。。」


凛「。。。何か悩み事か?」


奏「まぁ。。。そんなところですね」


凛「俺に話してみ?こう見えて口は硬いから」


奏「迷惑かけても悪い。。。ですし。。。」


凛「ほら、いつまでも貯めてたらダメだよ?話してスッキリしよ?。。。あっ。(なにかに気づくように)人気(ひとけ)のないところ知ってるからそこに移動しよう。」


奏「わかりました。。。」


(ナレ)奏斗は凛に手を引っ張られ人気のない教室へ連れていかれた。

 

凛「ここなら誰も来ないだろ。で?お前の悩みって?」


奏「それが。。。」


(ナレ)奏斗は凛に自分がオメガであること。そして、発情(ヒート)を抑えるために薬を飲んでいることを話した。


奏「でも、その薬の効き目が薄れてきてて。。。αに抱かれないともう抑えられないだろうと。。。」


凛「。。。。」(考えるような声)


奏「ごめんなさい、こんな話。。。」


凛「いや、逆に話してくれてありがとうな?

お前で良ければなんだけどさ。。。その発情(ヒート)を止める役目、俺にさせてくれないか?」


奏「え?あっえ?い、いいんですか?」


凛「お前可愛いし、ホスト部来た時お前いいなぁって思ってたからさ~。」


奏「えっ。。あっ。。。」


凛「あれ?顔が赤くなってるよ?近くで見ると。。。可愛いね(小声)」


奏「ん!?からかわないでくださいよ!もぉ!」

 

凛「あははは!ごめんごめん!つい可愛い子はからかいたくなるのさ」


奏「もぉ!!!」


奏「でも。。。ありがとうございます!」


凛「じゃあこれからよろしくな?」


奏「はい!」


凛「で、今、発情(ヒート)を起こしてないかい?ずっとお前から甘い匂いがするんだよ」

 

奏「あっ…きっ…気のせいですよ…(汗)」


凛「ふ~ん。じゃあ柔軟剤か香水の匂いか。んん~、いい匂いがするな。」


奏「そんなに…匂います?」


凛「うん。すっごい甘い匂いがするよ。」


凛「今の俺にはお前しか見えないんだ。どうしてだろうな。」(小声)


奏「しっ…知らないですよ!なんか鼻がおかしいんじゃないですか?」


凛「誤魔化し方が下手すぎ(笑)ほら、可愛くオネダリして?」


奏「…じゃあ…僕の発情(ヒート)を止めてよ。」


凛「やけに素直だな。よく言えました。」


奏「(リップ音)」


凛「んっ…積極的だねぇ。そんなにしたかったの?(笑)」


奏「年下だからって…油断しない方がいいですよ?」

 

凛「ふぅん…言うじゃん。じゃあ本当のキスを教えてやるよ。ほら」


(ナレ)誰もいない教室で奏斗が満足するまで凛は求められ、俺も負けないぞと燃え上がっていた凛であったが、最終的にばてていた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

(ナレ)学園祭が終わり、いつもの学園生活に戻ってきている。

 

生徒会もメンバーが変わり、生徒会長が羽音にかわる。

 

綾人は生徒会長という責任の解放からか、結翔によく甘えていくようになっている。

 

今日も発情(ヒート)を止めるために甘えている。



結「最近、やけに甘えてくるな。どうした?そんなに俺が好きなのか?」


綾「うん…好きぃ」


結「最近、激しくしないと満足しなくなったよなぁお前。ほんと罪なヤツ。」


綾「だって気持ちいんだもん。でももっと激しくして欲しいの。」


結「そうだな…可愛くオネダリ出来たら…お前が好きなお仕置をしてやろう」


綾「ほんと…?可愛くおねだしりたらいいの…?」


結「得意だろ?」


綾「…ん…。じゃあ。。。今日は俺にどんなお仕置をしてくれるの?目隠し?首絞め?首輪?」


結「ふぅん…で、お前はどれがいいの?」


綾「全部がいい…かな?」


結「ほんとお前って変態だね…wいいよ?やってやるよ」


(ナレ)前の冷たい関係が嘘かと思うくらいラブラブしている。

 

実はもう1組、大きな動きがある。

 

羽音は生徒会の用事が終わったあと、人気のない所に弥音を呼んでいた。


弥「で、こんな所に呼び出してなんの用?」


羽「あっ…あぁ。あのさ…彼女に振られてしまって…」


弥「え…?えぇ!?うそだろ…あんなにラブラブだったのに?」


羽「ラブラブ?なのかは分からないが、この前の日曜日、彼女から呼ばれたと思ったら他の男が出来ててな…別れを告げられたんだ…」


弥「そんなことが…」


羽「ごめんね、こんな暗い話をしてしまって。」


弥「いや、大丈夫だけど…どうして俺に?」


羽「あぁ…俺に彼女がいることは弥音しか知らないからね。それで話したんだ。」


弥「お…おぅ…なるほど…?」


(沈黙が続く)


羽「この前さ、俺の事好きって言ってくれてたじゃん?今も俺の事好きでいてくれてるの?」


弥「まぁ…そうだな。諦めてはないな。」


羽「諦めてなかったんだ。びっくり。」


弥「今、彼女に別れを告げられた羽音は弱っている。今狙い時か?いや待て?卑怯じゃないか?」(ここ心の声なのでボソッと言う感じで)


羽「なに?考えた顔して。今こう思ったでしょ?今の俺は弱ってる。狙い時だって。」

 

羽「俺を簡単におとせるとおもったの?」


弥「うっ…何でもお見通しって訳か…そうだよ。その推理通りだよ。参った。」


羽「わかりやすいねぇ。」


弥「そっそうか?もしかして顔に出て…」


羽「安心しろ。出てないから」


弥「お、おう。でもありがとな。話してくれて。」


羽「こちらこそ、聞いてくれてありがとうね。」

 

(ナレ)後日、弥音は羽音を気遣って行動をしていた。

羽音は''大丈夫''と言っているが、失恋からの悲しさと生徒会長としての責任感に潰れてしまうかもしれないと心配している。

 

ある日突然、羽音が弥音に問いかける。


羽「ねぇ。未だに俺の事好きなの?」


弥「好きじゃなかったらお前に尽くしてねーつーの。」


羽「確かに。。。生徒会で作業してる時に、飲み物を買って来てくれたり、運ぶ物があったら手伝ってくれたり、結構助けられてたなぁ。愚痴も聞いてもらったし。なんか色々やってもらってごめんな。いつもありがとう」


弥「そんな、いいって!俺が好きでやってるだけだから気にすんな!」


羽「ほんと、お前って俺のこと好きなんだね。色々してもらってよーく分かったよ。でも、まだ俺のことは落とせないからね?」

 

弥「そんなの分かってるっつーの。ってか落とせるとか思ってねーし?でも諦めてないからな!」


羽「はいはい、分かったって。まぁそのまま諦めてくれないことを祈るよ。」


羽「いつか俺は弥音を。。。」(小声)


弥「え?今なんて?」


羽「ううん。なんでもない!そうだ、駅前にできたケーキ屋さんに寄らない?甘いもの食べたくなったんだよ」


弥「しゃーないなぁ。行くかぁ。お前の奢りでよろしく!」


羽「はぁ…仕方がない。今回だけだぞ?」


弥「よっしゃ!そうと決まれば早く行くぞ!」


(ナレ)足取り軽く歩く弥音と、それを見ながら笑ってる羽音はケーキ屋さんへ向かう。

二人とも幸せそうにケーキを頬張っている。

 

すると、次々に、結翔、綾人。奏斗、凛がケーキ屋さんへやってくる。

 

ひとつのテーブルを囲んでみんなでワイワイ話している。

 

さて、みんなは、どんなケーキを頼んだんだろう。それはそれぞれで想像してみてください。


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