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白血病ライフ~好きなことがピンとこない~

 白血病ライフがはじまって1年間が過ぎました。
 
 大きく分けて病室ライフ、通院ライフの2つです。
 どっちかですよね。
 
 ただ病室ライフも数日というよりガッツリ3カ月くらいになるので、やっぱり、それなりの根性がいりますね。
 なんとか1年間は生きてこられたのは喜ばしいコトです。
 
 でも発病した1年前とちょっとニュアンスが違うかな、と思うことが多いですね。
 要するに、たいていのことに驚かなくなりましたよね。
 それは白血病ライフの「ペースがつかめてきた」ことかと・・・。 

これってけっこうインパクトありますよね。

 1年前は「おいらの命、これからどうなるの?」「あと何年生きられるのかな?」とトンネルの闇の中を手探りで歩く心もとなさ一色でした。
 でも1年が経って、複数回の抗がん剤治療を経験してみると、それなりに「なんとなくのつきあい方」がわかってきました。
 
 これって、あくまで私ゴトなので、万人の白血病患者に言えるわけではないことを断っておきますね。
 
 まずは深刻にならないコト、だなぁと思います。
 
 なにしろ、病名を告げると友人たちの「一瞬の間」と軽く話題を避けたくなる空気感があるんですよね。だから周囲の反応で、つい深刻になってしまう方、いると思います。
 
 でもね、その気分を相手からもらってしまうので、余計なストレスをかかえることになるんじゃないかと思います。
 まあ、単純に楽観的になってはいけないけど(なれませんけどね、そうは・・・)、「悲観的にならないこと」ですね、まず。
 もちろん、私だって、いろいろややこしい解決しなければいけないことはあるのですが、自分ひとりでやれることもあれば、自分だけで決められないコトも多い。
 なので、つい面倒臭いから「考えるのヤメ」と決め込んでしまうと、それはそれで、あとあと家族にも迷惑がかかるかな、と心配になったりするので、考えることはするのですが、なぜかモヤモヤするんですよね。
 なににモヤモヤしているのか、が正直わからない。

  なのでモヤモヤした気分があれば、その気分や思いつきを、妻さんに話すようにしています。けっこう、ハートはタフな人なので余計な気配りなく正直に話すようにしています。(この点は感謝ですね)  
 
 近頃、妻さんと話題沸騰したのが「お墓のこと」です。
 詳しくはまた書きますが、自分のモヤモヤの1つが「墓のこと」なのに気がついて、ちょっと呟く程度だったのが、自分の口がとてもなめらかにマシンガンのように語り始めてしまい、自分でも愕然としました(^^;)。 
 
 でも、やっぱり、書いちゃいますね。
 実は先方さん(妻さん)も話題にしたかったことらしく・・・(多分)
 
 結構、じぶんのなかでモヤモヤしていたことなんですよね。
 実は、私は4人きょうだいの次男で末っ子(自分で選んだわけじゃない)
 50代の時のある日。たまたま兄貴(実家を継いでくれている長男)と2人きりになり、めずらしく話が盛り上がった時でした。
「おれ、死んだらどこの墓に入ればいいのかなぁ?実家の墓になるんかなぁ・・・・・・」
 と呟いてみたんですよね。 

私を癒してくれるドリンクバー

 すると・・・
「おまえ、何考えているんやぁ。それはないぞ、ありえへん」
の返事が・・・これ、軽くショックでしたね。
「冷たっ!」というより、常識がないな、おまえ、と言われた印象でした。もちろん20代からなにかと自由にやってきた身なので、実家を守ってくれている兄貴からそういわれても仕方ないかと思いつつ、妙な宣告をされた気分で数日は落ち込んでいた自分がいたんですよね。
 
 あれから15年、どうやら実家のお墓に入るわけにもいかないことは受け入れました。しかし、どうにかせんといかんかなぁ、と棚上げしてきたことを、妻さんに話したんですよね。
  
 こんなこと、80代になってから相談しようと決めていたのに、それがこの病気になったおかげで一気に手前にやってきたわけなんですよね。
 
 「墓なんて、ただのメモリアル。いらん、いらん」
と豪語していた自分ですが、やっぱりそれではカッコつかんかなと、いつしか墓建立の方に傾いている「揺れている自分」のことも話しました。
 
 白血病でいつ逝くかわからない夫から、墓の話をされる妻さんも縁起でもないと思ったでしょうが、けっこうしっかりと耳を傾けてくれました。
 
 まあ、この結末はまた書きますが・・・いろいろ面倒なことが多いですね(^^;)。
  こんな話題を1年前なら絶対できなかったですよね。半年前だってそう。
 でも現実に考えるだけでなく決めておかないとのちのちに妻さんがこまることになるわけで・・・それを考えるだけでなく、白血病ライフを過ごしながら考える余裕?時間?覚悟?がでてきたのかもしれません。
 
 ここでいきなり話題は変わります。
 近頃、「好きなことを今のうちにやってください」と友人から言われたり、担当医からそこはかとなく示唆されるんですが、なにしろ無菌室に隔離状態だから、そもそも好きなことができない、ですよね。

 それと「好きなこと」って何かな?とハタと困ってしまう自分がいます。
 「感染症に超注意して下さい」
 「生ものはダメ、絶対!」
 「人ごみのあるところは避けて下さい。インフルも流行ってきていますので・・・」
 なんて言われて、これをクリアできる「好きなこと」って、どうにも思いつかない、ですね。
 皮肉に受けとめているわけではなく、「さて、なにかなぁ・・・」と考えています。 

ちょっと散らかり気味のレンタルオフィス「無菌室」

 「好きなこと」でなく「今のうちにやれることはやっておきましょう」と言われた方が具体的になりますね。そのほうが知恵が回る。
 だってやらなくちゃいけないことの多くって「好きなこと」より「嫌なコト」「面倒臭いコト」だったりしますよね。
 でも時間が限られている(余命?)と思うとがんばれちゃうし、それが家族や周囲の役に立つことになるなら、懸命に向き合おうと思います。
 
 やっぱり「好きなこと」より「やるべきこと」と自分に自問自答したほうがぴったりとくる。
 やっぱ、仕事(執筆)なんですよね。
 
 白血病になってもワーカーホリックな八傑くんです。 

「入浴中」の札の反対側です。


 
 

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