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どうしてタメ口に?~声なきクレーム~

 医療や介護の現場で患者や利用者側が抱く「声なきクレーム」にはどんなものがあると思いますか?
 注射の打ち方?
 排泄や食事の介助の仕方?
 いずれもとても慎重にやっていただきたいこと。ただ、一方的だったり、力まかせだと、イテテテッ・・・と声に出すことができます。
 
でもでも・・・そればっかりじゃない。
 
意外と日常的に起きているのに自覚がないことで・・・。
自覚がないから修正もしない。
むしろそれが良いコト?当たり前?と思っているなら、実に本人さんは気分いいでしょう。 
さて、なんでしょう?
 
ずばり・・・「言葉づかい」です。
それも暴言なんかではなく、タメ口です。
なれなれしい語りかけ・・・とり方によっては親しさなんでしょうが、そんなに時間が経っていないのに、こう親しくこられると「?」。ましてやかなり年下の20代~30代から語りかけられると、さすがに「イラっ」ときませんか?
2ヶ月前に書いた「その話し方、なくないですか?」の第2弾です。
 

タメ口の例です。ここのナースさんの例ではありませんので・・・(^^;)。

そのわかりやすい体験をまたまたしたので、ご紹介します。
 
一年ぶりに治療入院していることは、すでに触れました。
今回、久しぶりに戻ってみるとナースのみなさんの言葉づかいはグンッとよくなっていました。話すことばはていねい語が定着し、「何か研修でもしたのかな?」と不思議に思うほどでした。
 
さてさて・・・先日のこと。
いつものナースさんではない2人が交替で入りました。そのナースさんの1人は1年前にいたので顔は覚えていました。
ある日、午前中にリハビリが入っていることが私に伝わっていなくて、「その時間、オンライン会議があるのでムリです」と伝えました。
そこからリハチームと調整をしたらしく、お昼前に次のように言われました。
 
「これまで火・金がリハでした。でも無理そうなので火木となります。時間の変更があれば前日までに伝えて下さい。もし火木で一度でもできないようなことがあれば、週1回になりますので、よろしくお願いします」
 
それって担当医さんの了解をとってんのかなぁ?
キャンセルしたら週一回って・・・ここでは治療としてやってんのに、こちらのミスがあったら「罰として1回に減らします」という懲罰主義なんか?と、イラっときました。
 
とくに先方ナースの「上から目線」の言い方が気になりましたが、「次回から注意すればよいのだ」と心の中で折り合いをつけ、「わかりました」ととりあえず返事をしました。
 
さてさて・・・その後です。
 
一年前、大腸の調子が悪くて、手術をしてストーマくんなのですね、私。
この間、ちょっと処理が大変なことが数回あり(^^;)、シャワーの前に、ストーマをはがした面を写真撮らしてほしいとなりました。
「わかりました」と伝え、準備を始めました。
数分後にさっきのナース2人がやってきました。
 
ちょっと大柄なナースさんの口から・・・
「もう、やった?まだなの?はがそうね」
「自分でできる?やれそう?」
ちょっと耳を疑いました。
上から目線はもちろんのこと、このなれなれしい言い方。
この人、午前中はていねい語で話しかけてくれていたのにタメ口全開。
 なかなかの迫力にビックリです。

とくに見開いた目がこわかった(^^;)

さすがにこれは言わなくては、とスイッチが入りました。
「いま、なんて言いました?はがせそう?やれそう?その言い方はあまりに失礼ではないですか?患者として私にいたらないこと(リハの時間の件があったので(^^;))があれば謝ります。でも、あなたのそのなれなれしい言い方はなんですか?」
私が何を怒っているのか、事情をすぐに察したのでしょう。
即行で「すみません、申し訳ありません」とそのナースさんは謝りました。
 
あれから、どうして言葉づかいが変わってしまったのか、考えました。
元々、口が悪いのか・・・そんなことはないでしょう。
 
変わったのは、私が「世話が焼ける面倒な患者、ストーマの写真を撮らなくてはいけない患者」という風に、彼女のなかで入れ替わってしまったんでしょうね。サポーティブさはまったくなく、「さあ、さっさと済ませましょう」のオーラ全開なんです。「手間がかかる、世話が焼けるなぁ」・・・
ちょっと挑むような「目」の奥に、私には本音が垣間見えたのです。
 
そのナースさんは、その後、何度も「すみません」と謝るのも妙に感じました。くどいので、それ以上、追及もしませんでした。説教調で諭すこともしませんでした。そばには後輩ナースさんもおり、先輩である彼女の顔をつぶすことになったら申し訳ない、と思ったからです。
 
シャワーを浴び、30分後、点滴の保護テープをはがしてもらうためにナースコールを鳴らすと、もう一人の後輩ナースさんがやってきました。
はがしてもらいながら「先ほどはちょっと言い過ぎたかもしれません。嫌な気分になりませんでしたか?」と呟きました。彼女からはなんの反応もありません。エッと思いました。リアクションはなし?
「私だから言葉に出しますけど、なかなか患者であのようなことは言えないです(とても勇気を出して言ったのです、という意味をこめて)」
と遠回しに遠回しに、示唆的に追加で呟きました。
 
患者(私)が言葉づかいにクレームを言ったら、即、謝まれるほどに実はわかっている。なのに、「関係性の傾き」が患者の方が下向き(世話される対象)になった時に、ついついタメ口が出てしまう。
私の示唆的な言い方さえも伝わっていないようでした。
 

モヤモヤ気分のワタシ

「言葉は人を癒し、言葉は人を傷つけ殺す」
 
これはある中国の古事。
殺すといえば、もっともわかりやすいのが「呪い」。
呪詛ですね・・・韓流ドラマの暗殺の定番ですね。

そんな気はなかった、そんなつもりで言ったのではない、と弁解や言い訳をされても、一度放った「言の葉」が相手の心に刺さり、痛みを生じることもあります。
 
悪気がないのはわかっています。
でも悪気がないから気がつかない、治らない。
一方で患者の、利用者の心は傷ついている。

このニュアンス、みなさんに伝わっているか、少し気がかりな私です。
でも第2弾になっても、書かずにいられないのは、なぜ?
「ちょっと粘着質」な私なのですかね(^^;)。

※イラスト  八傑くん
 
 

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