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創作物語「怪獣スサミゴン」
小学校3年生の ちーちゃんは、小学校が大好き。
大好きな友達もいるし 知らないことがたくさん覚えられるから。
でもちょっとだけ気になることがあるの。
教室の後ろの壁に書いてある 怪獣や
バカ とかクソとかの言葉。
怪獣の隣にはスサミ ゴンと名前まで書いてある。
1回、先生に話したら 「そうね、 お掃除しないとね」と優しく言ってくれた。
でもね、 それから 変な言葉がまた増えてる。
「もう1回、先生に言おうかな」って思ったけど忙しそうだったからやめた 。
「小学校は楽しいけど、ちょっと嫌だな」と思う、 ちいちゃんでした。
さて、ある日の夜の小学校
ちいちゃんのクラス 3年1組から、何やら声が聞こえてきます
とても賑やかです。
教室の真ん中には
壁から出て来たスサミゴンが立っています。
隣には、おでこにクソと書かれた 怪獣 クソゴンがいます。
そうそう どうやら 壁の落書きは、怪獣になり おでこに、 その文字が書かれているようですね。
そして 怪獣たちは、食事の時間みたいです。 掃除で残ったゴミが ご飯
探して拾って食べています 。
スサミゴンが言っています 。
「きちんと掃除されると困るんだ。 はらぺこになっちまう。 掃除 なんてやめてもらいたい。」
落書きが増えると怪獣が増える。
この教室のゴミだけでは、きっと足りなくなってしまうでしょう。
新しい 落書き から生まれた おでこに、ケツ と書かれた 怪獣 ケツゴンも「お腹すいた」と騒いでいます。
怪獣たちは、あちこちに落ちているゴミを
必死に拾っては 口に入れながら歩いています。
中には机が椅子を倒したり投げたりして笑っているのもいます 。
見つけたゴミの取り合いでケツゴンとクソゴンが喧嘩を始めました 。
壁から出られるのは、夜の間だけ。
朝になる前に戻らないと 壁に戻れなくなってしまうのです 。
そろそろ 朝の光が入り 教室が明るくなりそうです 。
怪獣たちは大慌て で机や椅子を元に戻しています。
お片付けが終わると、みんなは 、自分の名前があった所に戻って行きました 。
おや?
スサミゴンがいません。
どうしたのでしょう?
食いしん坊の スサミゴンは、ゴミ箱の下に落ちていたゴミを見つけて夢中になってしまったのです 。
朝になりました 。
壁にスサミゴンは、いません 。
壁に戻れなかったのです。
でも大丈夫。
先生にも、子供たちも、スサミゴンの姿は見えないのです。
お腹がいっぱいになった スサミゴンは
先生の机の下で眠ってしまいました 。
そこへ3年1組のみんなが登校して来ました。
もちろん、ちーちゃんもいます。
ちーちゃんは、中休みにセサミ ゴンが消えたことに気づきました。
「先生に聞こうかな」と思いましたが
忙しそうだったのでやめました 。
仲良しのはる君に言うと
「きっと、先生が消してくれたんだと思うよ、はるくんは」 と言ったので
「そうなのかな」と思っていました 。
3時間目は 国語の時間
「バン」と、ゆづちゃんの筆箱が床に落ちました 。
続けて、ゆうちゃんのも落ちました。
4回目に 筆箱 が落ちた時、先生がちょっと怖い声で
「気をつけましょう」 と言いました。
落としたのは
スサミゴン。
眠っていたセサミ ゴンが起きて、遊ぶ仲間もいないから、つまらなくなり、筆箱落としていたのです 。
もちろん 誰にも スサミゴン は見えません。
でも不思議なことに、 人間には、さわれないけれど物には、さわる事が出来る。
楽しくなった スサミゴン
4時間目の算数になると、ノートや教科書も落とし始めました 。
先生の「気をつけましょう」の声が
どんどん大きくなっていきました。
とうとう「 やめなさい!」と先生は叫びました。
でも皆は
「私、知らない」
「僕 何もしてないよ」 と言います。
皆は、してないですからね。
それを聞いた先生は、青くなって
「みんな!本を出して!今から読書の時間にしましょう!
先生ね、 校長先生を呼んでくるわ」
と 教室を出て行きました。
少しして先生は 、校長先生と一緒に戻ってきました。
校長先生は、ノートや教科書が拾っても拾っても落ちていくのを見て、びっくりした顔をしていました。
教室をゆっくり 見回し、落書きを見つけました 。
そして校長先生 は
みんなにゆっくり話し始めました。
「前に聞いたことがある。 大昔 、落書きがある教室では、なぜかは分からないが、困ったことが起きたそうだ 。
さあ!みんないいかな?
今から 落書きをみんなで消してみないか ?」
さて、「 3年1組のきれいにしよう学習」の
スタート!
雑巾の足りない分は他のクラスから借りました。
クラスの子供たち 20名
他のクラスの先生 、校長先生、用務員さんとでゴシゴシ こすったら、
あっという間に綺麗になりました。
ピカピカの壁 みんなの顔もニコニコ。
さて困ったのは スサミゴンです。
なぜかって
スサミゴンの名前が消えちゃった から
どこに帰ったらいいか、わからなくなってしまいました。
スサミゴンは
窓から外に飛んで行ってしまいました。
誰かが、 他の学校でスサミゴンと落書きしてくれたらいいですね。
3年1組の教室ではもう パタンパタンという音は聞こえなくなりました。
ちーちゃんは気になっていた落書きが消えて にっこり。
大好きな小学校が
大大大好きな小学校になりました 。
毎日早起きして一番に学校に行っています。
みんなの学校に 、スサミゴンはいないかな?
おしまい
2000文字を超えています。
読んで頂き、感謝しています。
ありがとうございました。
孫の話を元に低学年向きに
と思い、書きました。
祖母の私としては
「落書きはダメ」というより
「スッキリした教室の気持ち良さ」を
感じて小学生生活を楽しんで欲しいなと
思っています
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