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【轟音感想】Sijjeel-Salvation Within Insanity

はじめに

気づけば11月も2週目に入り、2023年もあとわずか。
僕は毎日デスメタルを聴いては益体もない文章に出力しています。今はコインランドリーで布団の洗濯・乾燥待ちをしながらこの文章を書いています。
フラッと洗濯物を投入していったおじさんがデスメタルのジャケットに出てきそうな悪臭を残して去りました。チーズが腐ったような皮脂の発酵臭、生きた人間の腐臭。服もだけど、自分の体も洗おうよ。。。
そんなこんなで臭いに負けて席を離れようか迷っていますが、ちょっとブルータルな環境に身を置いて物書きします。
くせぇ。

Sijjeelというバンド

今回のアルバムは去年のRiff  Cultさんで紹介されて話題になった、サウジアラビア出身のブルデスバンド”Sijjeel”
活動は2013年からしていて、2020年にEPをセルフリリース、2022年にUSのブルデス専門レーベルComatose  Musicからアルバムをデジタルリリース。
2023年4月には新曲のシングルを発売しています。
サウジアラビアという正直に言ってマイナーな国出身の、マイナーなジャンルのバンドが日本の片田舎で暮らす僕の耳に届くって、スゴイ。凄いのはRiff  Cultさんのリサーチ力と影響力、そしてSijjeelのブルータリティサウンド!
ところでこのSIJJEELという言葉は何語のどんな意味かというと、元はペルシア語で、現代のアラビア語辞典アル・ムンジドではحجارة كالطين اليابسと定義されています。このحجارة كالطين اليابسはサウジアラビアのクルアーンの翻訳では、「焦げた粘土」という表現を使用しています。
- 自然に石に硬化した粘土。
- 陶器の破片(粘土で作られ、特別な窯で非常に高温で焼かれることによって硬化される)。
- 火の熱い石(おそらく古代の戦争で使用)。
だ、そうです。
海外サイトから引用した内容ですが、わかりにくい点は
>元はペルシア語で、現代のアラビア語辞典アル・ムンジドでは〜と定義される
という一文かと思います。
ペルシア語は古くに成立した言語ですが、長い歴史の中で多くの語彙をアラビア語から取り入れています。アラビア語の影響力というのはアラビア語がイスラム教の教典”コーラン”で使われている言葉、イスラム教の共用語だからなわけで、イスラム教が発展普及してトップメタになったためにペルシア語もアラビア語の影響を大きく受けているわけです。
バンド名が意味するものは?と言われても分からんす。
調べたら下の仮説もあったので、
>一部のコメンテーターは、この表現は実際の物体を説明するためのものではなく、むしろ燃える石を投げつけられているように感じた犠牲者への影響であると示唆した。例えば、その苦悩はウイルス性の皮膚病の流行だったかもしれない。
デスメタルバンド名あるあるの不吉な言葉ネーミングなのかもです。

メンバー

Hussain Akbar Guitars, Drum programming
Lukas Kaminski Bass
Floor van Kuijk Vocals
のトリオ体制。2020年のEPにはKraaniumで一時期ベースを弾いてた、Ivan Rasstriginが参加していました。
GtのAkbarとVoのKuijkが中心となっていて、Kujikはミキシングも担当してます。
BaのKaminskiはドイツ人(他二人はサウジアラビア人)で、ドイツの老舗ブルデス/デスコアバンドStill  Birthでもベース弾いてます。南アフリカのVulvodyniaと繋がりある感じです。Kaminskiが参加しているバンドXavlegbmaofffassssitimiwoamndutroabcwapwaeiippohfffXにVulvodyniaのメンバーが二人参加していたりです。
ブルデス界隈、色んなところで色んな人がつながってるので珍しいことは何もないですが。

収録曲

1.Isolation Behind Unrealism 04:31
2.Inverted Contentment in Salvation 03:14
3.The Affliction of Deteriorating Minds 03:49
4.Mental Paralysis 04:04
5.Climbing into the Abyss 04:33
6.Departing from Human Nature 03:25
7.Indignation Overcame Me 04:18
8.Inflection to Thee Smut 06:04
Total33:58

感想

めちゃくちゃどストレートなブルデス。
ドラムは打ち込みだけあって無機質に冷酷に凄まじい速度で打音を鳴らしてますが、知らないで聴いたら打ち込みと気付かないくらいにテクニカルな叩き方してます。アイディア溢れるパターンというか、閃きある展開というか。
ブルデスのドラム、ドラマーって人間離れした叩き方するから”こんな高速で変拍子してもおかしくないなぁ”とか。
Disgorge系です。ああいう突進ゴリゴリ無慈悲ブルデス。大好きなやつ。
似てるけど、ちょっと違って、なんだろう経年進化を遂げた2022年のDisgorge系サウンドと云うんかな。
さりとて唯一無二のブルータリティと激しさを持ったかっこいいバンドです。サウジアラビア出身だからといって、中東風なSEやアルペジオを入れてくるわけでもないし。
世界の地下から鳴らしていくぜ!って云うワールドワイドなアンダーグラウンドさを感じました。

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