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1999年7月24日(土)
【道:前田 法重・中島 一州・原田 公司・大塚 仁・中尾 智史・本田 仁】
「流石に飛行機だとどうしようもないよな」
「逃げ道ないですもんね」
ビールを空けた後で口にした原田 公司の言葉を聞いて、中尾 智史が返事を返した。ここは居酒屋『道』。本日もたくさんの客が美味しいお酒と料理を楽しんでいる。前田 法重と付き人たちもいつものように飲み会を行っている最中である。昨日起きた事件である全日空61便ハイジャックのニュースは朝からずっとニュースで騒がれている。結果として羽田空港に緊急着陸をしたらしいが数人犠牲者がでたとのことだ。犯人に捕らえられる状況としては、建物の立てこもりだったり、バスジャック、ハイジャックだったりするが、ハイジャックだけは命からがら逃げ出すという方法が取れない。そこで、何とかその状況自体を解決しないと救出されるという結果に結びつかないが、空にいる以上警察も手出しの仕様がないので、犯人次第では助かる見込みがない場合も考えられるのだ。
「まあ俺ら飛行機乗らんけどね」
「そういえばそうですよね。九州から出ることないですもんね」
自分たちの飛行機事情について前田が口にし、それに本田 仁が言葉を返す。前田は大学在学中に冒険者となったが、それ以降飛行機に乗ったことは1度しかなく、それも冒険者の業務としてオランダに行った時である。なので私用で飛行機に乗ることはなく、それは本田も同じような状況である。
「たまにはどっかに行ってみる?」
「あ、俺は新婚旅行で流石に飛行機に乗る予定があるっす」
飛行機でどこかに行かないかという中島 一州の提案に対して、結婚が決まっている大塚 仁が自分は飛行機に乗る予定があることを口にする。まだはっきりと行き先を決めているわけではないが、海外に行こうとは話をしているので、飛行機に乗ることはほぼ決まっているのである。この後はそれ以外のメンバーで飛行機でどこかに行くかどうかを話し合ったが、結論どこかに行ってもそこでお酒を飲むぐらいしかしないだろうということになり、それなら『道』で飲めば良いという結論に至ったのである。