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1998年10月27日(火)
【熊大第1迷宮:イナバウアー部隊】
「やだやだ私は戦いが嫌いでね」
「お、クリアおめー」
出現したブッチャーが戦わずして消滅したのを見て、後方で様子を眺めていた佐藤 義明が祝福の声を上げた。ここは熊大第1迷宮。イナバウアー部隊は本日も地下1階のブッチャーチャレンジに訪れている。前回までに佐藤はクリアしており、本日すでに佐々木 裕司もクリアしていた。そして今、山田 由紀がブッチャーをクリアしたのである。山田はクリア出来たのが嬉しく、笑顔を浮かべ大きく息を吐いた。そして部隊のみんながいる場所に視線を向けると、全員でサムズアップで祝福してくれている。それを見て少し恥ずかしげな表情を浮かべながらみんながいる場所に移動した。
「さて、地下2階に降りてみる?」
佐藤が全員に向かって提案したが、本日は山田がブッチャーと1戦しただけなので、全員全然元気な状態だ。予想通り2階に行きたがっているようなので、ブッチャーの部屋から移動し、地下2階に降りる階段へと向かう。階段にかかっている罠を小田 直樹が解除できることは事前に確認済であり、この日も特に問題なく解除に成功し、部隊は階段を降りて地下2階に移動した。初めて体験する地下2階は見た感じの雰囲気はあまり地下1階と相違ないが、空気の重さ、すなわち特殊物質の濃度が少し濃いような感じがする。
「通常亜獣に負けることはないと思うので、少しぶらついてみましょう」
このように話して佐藤を先頭に移動を始める。そして北側の通路が左手に曲がる場所にある正面の扉の前で足を止める。
「扉の奥、亜獣が5体です」
「地下2階初戦闘やな。裕司ゴー」
扉の奥を探索した小田の声を聞いて、佐藤が戦うことを選択し、佐々木に扉を蹴破るように指示する。それを聞いて佐々木が思い切り扉を蹴破ると、中には巨兎が2体と魔術師が3体存在していた。
「無効」
「催眠」
巨兎の強さはあらかじめ調べていたので、呪文が厄介な魔術師に対して石田 有紀が無効、村松 絵梨香が催眠を唱える。無効の効果はわからないが、催眠の効果で魔術師3体は倒れ伏した。その間に戦士3人は巨兎2体との戦闘を行い、特に苦戦することもなく殲滅に成功し、その後、お休み中の魔術師3体も消滅させた。
「物質回収します」
小田が物質を回収し、1人だけ多少ダメージを喰らった山田が石田へ回復を依頼する。この後、回収と回復を終えて、探索を開始、もう1度だけ戦闘を行い、本日の探索を終了することにした。