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2000年2月18日(金)
【魔術師鍛錬場:本田 仁・細川 舞美・大河原 美沙・左村 亜香里】
「現状必要性がないんだよね。だからこの状況で止まってるんだと思う」
「仮定の話ですけど、また新しい迷宮が見つかったら変わりますかね」
質問に対して答えた本田 仁の言葉を聞いて、細川 舞美が考えていることを口にした。ここは午前中の魔術師鍛錬場。本日もたくさんの魔術師が鍛錬を行っている。本日本田は13期の魔術師3人と一緒に鍛錬を行っており、ティリオスの習得を目指している大河原 美沙と左村 亜香里に感覚的な部分を伝授している。今一緒にいる細川もティリオスは習得しているので、普段から細川もその感覚的な部分は教えているのだが、自分よりも上手く説明ができそうな本田に指導をお願いしたのである。ちなみにティリオスが使える魔術師は現在4人存在しており、本田と細川、それに湘南爆走隊部隊の高松 準也と島 可南子である。高松と島には以前からティリオスについて指導を受けており、細川のティリオス発現の際にもいろいろ指導をつけてもらっているのだ。大河原と左村が精神を集中して鍛錬を行っている間に、今後の魔術師のあり方について細川が本田に質問したのである。
「新しい迷宮が見つかって、そこに存在する亜獣がTNT爆発では手に負えないようであれば、新しい魔法が発動する可能性はあると思う」
実際に第2迷宮地下3階のボスはそれまでの攻撃手段では倒すことが出来なかった。その中で本田自身がティリオスの呪文の発現に成功し、ボスを倒した過去があるのである。今後、新しい迷宮が見つかり、その迷宮が第2迷宮に続くほどの難易度を持つものであれば、現在最上位の攻撃魔法であるTNT爆発の上位呪文が発現することは十分に考えられるのだ。
「窮すれば通ずってやつですかね」
「虎穴にいらずんばずんばとも言うな」
先程の話の状況について細川が該当することわざを述べて、それと同義の言葉を本田が軽く口にする。おそらく出典は虎穴にいらずんば虎子を得ずなのだろうが、本田が意味のわからないことを話すのは昔からなので、特に突っ込むことはせずに細川は自らの鍛錬を始めたのであった。