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2024年6月15日(土)《GB》

《義父への挨拶。男性においては人生においての緊張場面トップ3に入るのではないでしょうか。超緊張》
【富田邸:富田 剛・中島 憲次・富田 穂樽・富田 さやか】
「どこの馬の骨ともわからん男においそれと娘をやれるかー!!!」
「え、お父さん?」
 いきなり激怒し始めた富田 剛の反応を見て、富田 穂樽は信じられないような表情を浮かべて言葉を漏らした。ここは富田邸。本日は長女の穂樽の結婚相手である中島 憲次が挨拶に来る予定になっており、朝から富田家は少し落ち着かない雰囲気であった。先週無事に憲次からプロポーズをされた穂樽は、悩むことなく受け入れる返事をし、無事に結婚することが決まる。そして、その後は今後のスケジュールなどを話し合った。まだ仕事が非常に忙しい中島のスケジュールに合わせ、本日父親に挨拶を行い、11月辺りに結納、結婚式は来月の3月ぐらいを計画しているのである。そこで本日は富田家に集合し、先程中島が結婚許可をもらう際の定型分を口にすると、富田が先程の反応をしたのである。この反応に穂樽は本気で理解ができなかった。中島は富田の先輩である中島 一州の次男であり、それこそ小さい頃から家族ぐるみの付き合いがあり、一緒に色々な場所へ行ったりもしていたのである。そもそも付き合っていることは以前から伝えていたので、結婚を許可しない理由も考えられないが、どこの馬の骨ともわからんというセリフは本気で理解ができないのである。少し頭がパニックになっている穂樽であるが、中島は以外と冷静な表情をしており、動揺しているような雰囲気は全くない。そして、軽く息を吐いた後、ゆっくりと口を開いた。
「確かに私は馬の骨かもしれません。でも馬の骨は食べようとしても肉はないかもしれませんが、捨てるには味があります」
「ふむう、鶏肋鶏肋」
「鶏肋は鳥の骨ですね」
 真面目な表情で話を聞いていた富田は、何か考えるような表情を受けべて言葉を漏らし、それを聞いた中島は訂正の言葉を述べる。今目の前で起こっている現象を全く理解できない穂樽は呆然と2人の様子を観察することしかできない。その穂樽を見つめながら富田 さやかが口を開いた。
「そろそろ終わりにしましょうか」
 笑顔を浮かべてこう話した母親を見ても、穂樽は何が終わりなのかを理解出来なかった。この後、父親の富田から種明かしがある。実は富田と中島は競馬仲間なので、独自にLINEのやり取りがあり、そこで本日挨拶に行くことを事前に伝えていた。そしてせっかくなので、面白い会にしたいという富田の要望で先ほどの茶番を実行したのである。
「ドッキリってやつ・・・」
 大きく息を吐いて穂樽は全身脱力して言葉を漏らす。まさかこの場で自分にドッキリを仕掛けられるとは全く思いもしていなかった。ただ、結果的に結婚については快く了承の返事をもらえたので、終わりよければ全て良しと無理やり今日1日の出来事について納得する穂樽であった。

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