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1996年5月3日(金)《BN》

【七城メロンドーム:富田 剛・松浦 さやか】
「ホットコーヒーは良いねえ」
 目を瞑って香りと味を楽しみながら富田 剛は言葉を漏らした。ここは『七城メロンドーム』。富田と松浦 さやかはゴールデンウィークを利用して小旅行を企画し、今日の夜は湯布院の宿を予約している。黒髪を朝早く出発し、先ほど玉名の松浦の実家によって軽く挨拶を済ませたところである。そして玉名から菊池経由で湯布院に向かうルートを選択し、現在その途中にある『七城メロンドーム』で休憩をしているところである。
「リリンの生み出した文化の極みかな?」
「そこまでは無いかも」
 助手席の松浦から飛んできた突っ込みに、富田は笑いながら軽く返事を返す。確かにコーヒーは大好きだが、文化の極みかというとそこまではなく、もっと大衆的であって欲しいとも思うのである。
「では出発して良いかな」
「つよくんが大丈夫だったら私はOKだよー」
 この松浦の声を聞いて、車を出発させる。メロンドームから国道387号線経由でのんびりと大分方面へと向かう。ゴールデンウィークということもあり、思ったよりも車の数が多く、場所によっては渋滞することもあった。それに多少イライラしつつも、そのイラつき加減を横で笑っている松浦に癒されながら無事に湯布院に到着する。すでに夕方過ぎの時間になっていたので、宿の駐車場に車を停めて先にチェックインを済ませる。そしてその後でのんびりと湯布院の街を散策した。流石に人が多く、人ごみがあまり好きではない富田に取ってはのんびり感をあまり味わえなかったが、松浦が楽しんでくれているようなので満足することにする。この後は宿に戻り1泊し、翌日はどこに行くか決めてなかったが、同じ道を戻るのも味気ないので、小国あたりから南下して阿蘇の大観峰を経由し、国道57号線を通って黒髪へと戻ることにしたのである。

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