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1998年8月25日(火)

【魔術師鍛錬場:本田 仁・高松 準也・島 可南子】
「あ、出来てる」
 少し遅れてやってきて本田 仁は目の前の現象を見ながらこう言葉を発した。ここは午前中の魔術師鍛錬場。本日もたくさんの魔術師が鍛錬を行っている。いつものように重役出勤をした本田であったが、鍛錬場に入ると、高松 準也の周辺で特殊な現象が起こっているのを確認した。これはティリオスの呪文が発言した際に起こる現象で有り、自分以外がティリオスを唱えるのを見たのはそれこそいつ以来かは覚えていない。その様なことを考えながら、高松の鍛錬場所へと向かっていく。
「お疲れ様です。高松君ティリオスできたみたいだね」
「あ、本田さんお疲れ様です。やっと出来ました」
 疲労感を感じながらも、嬉しい笑顔を浮かべて、高松が挨拶を返す。その横で鍛錬を行なっている島 可南子も本田へ軽く頭を下げて挨拶をした。
「島さんはまだかな」
「まだですね。出来る気がしません」
 質問をした本田の言葉に島はため息をつきながら答える。何となくイメージは湧いて来ているのだが、そのイメージを現実にはまだ発現させることができないのである。
「でもまあ極論地下3階のボス倒すのにティリオスは1発で良いから、どちらかが唱えられれば倒せるけどね。他ではあまり使わないし」
 現状ティリオスという呪文の実用性を本田が口にする。第2迷宮地下3階のボスを倒すのには必須の魔法ではあるが、それ以外のシーンではほぼ使うことがないのである。
「いや、悔しいので頑張って習得します」
 同期の高松が習得できたものを自分が習得できていない事実に島は納得できず、この後も集中してティリオスの習得のために鍛錬を続けるのであった。

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