1999年10月20日(水)
【熊大第1迷宮:黄金勇者部隊】
「それでは筋肉戦を行う前におさらいをしておきましょう」
隊長の大浦 俊克の言葉に隊員全員が真剣な表情で耳を傾ける。ここは熊大第1迷宮。本日も地下9階まで降りてきた黄金勇者部隊であるが、いつものように田村 沙織がまずボス部屋へ繋がる扉の罠解除を実施し、先週までは解除出来そうで出来ない状況が続いていたが本日ついに罠解除に成功したのである。そこで本日からボス戦を行うことにし、現在ボスである筋肉が出現する部屋にいるのである。そして筋肉戦を行う前に筋肉の特徴や攻撃パターンなどの確認を行っているのだ。もちろん大浦も戦ったことはないので、マニュアルに書いてある内容を参考にしている。
「筋肉は両手剣を持っており、両手剣での攻撃がメインです。防御に関しては見た目は上半身裸に見えるのですが、筋肉自体が鎧の役目をしており、それでダメージを受けないように上手く喰らいます。なので、攻撃を避けられることはほとんどありませんが、攻撃のダメージが通っているかどうかは判断が難しいところです。また、通常の攻撃以外に死角から蹴り攻撃を行ってきます。この蹴りのダメージは凄まじく、もろに喰らってしまうと相当な距離吹っ飛ばされます。出来るだけ直撃は避けましょう。そして主に蹴りを打った後の攻撃として波動を手に出現させてそれを飛び道具として攻撃してきます。これはよほど意識が飛んでいる等でなければ交わすことができるので、必ず交わしましょう。喰らった時のダメージは未知数です。そしてこの飛び道具を打った後の筋肉は多少の疲労感で動きが鈍くなるので、このタイミングで全力攻撃をし、倒し切るという流れになります」
マニュアルに関しては隊員全員が目を通しているはずであるが、一応詳しく倒し方を大浦が説明する。これを聴きながら隊員達はウンウンと頷いているが、特に戦士の権藤 友加里と峰 奏絵はより真剣に話を聞いているようだ。
「これで大丈夫ですかね?大丈夫であれば早速筋肉戦を始めます」
この言葉に隊員の誰からも声が上がらなかったので、大浦は大きく息を吐きカエルの彫像の場所へと向かう。そして彫像を動かし集中を高めた。
「待っていたぞ大浦」
筋肉出現時の定型文を聞いて気合を高めた大浦は、両手剣を強く握りしめて筋肉戦を開始するのであった。