1998年6月17日(水)
【熊大第3迷宮:ギンガマン応援部隊・中尾 智史・鹿本 芽衣】
「では行ってきます」
「気をつけてねー」
ギンガマン応援部隊の隊長篠原 浩之が緊張気味に発した言葉に対して、手を振りながら軽い感じで中尾 智史が答えた。ここは熊大第3迷宮の入り口。本日ギンガマン応援部隊は初めての探索を行うことになっている。まだわからない部分も多いので、本日も入り口で中尾は待機を行うことにしている。また、僧侶の鹿本 芽衣も同行し、何かあったときにすぐに治療ができるようにしているのだ。中尾と鹿本はギンガマン応援部隊の全員が迷宮に入ったのを見て、軽く息を吐いて、お互い顔を見合わせる。
「座って待ってようか」
そういって中尾は数日前に準備されたベンチへ向かってそれに座り、鹿本も隣に座った。
「大丈夫ですかね」
少しだけ心配そうな表情を浮かべて鹿本が言葉を発する。自分たちが第1迷宮を初めて探索した時と比べて状況があまりにも厳しい気がしているのだ。鹿本は13期で冒険者になっており、その時にはすでに第1迷宮の探索は終わっていた。迷宮の詳しいマニュアルが存在し、地下1階で出現するの亜獣の種類や強さなども事細かに記載されていたのである。もちろんそれがあったとはいえ探索が安全なわけではないが、あらかじめ知識があるのとないのでは精神的な部分でも大きな違いがあるのである。
「まあ、結果第1迷宮も初めはこの状態から始まってる訳だし、俺らがここで待機できている分多少マシだと思うしかないな」
そう言って中尾は大きく背伸びをした。この後2人は今までの冒険の話や、プライベートの話などで時間を潰し、1時間ほど経って帰ってきたギンガマン応援部隊が無事であることに安心し、笑顔で出迎えたのである。