
2025年2月12日(水)《GB》
《私は異性から鬱陶しいほど絡まれたことがないので良くわかりませんが、ちょっとだけうらやましい》
【熊大第3迷宮:冒険者のひとりごと部隊】
「え、藤花さんは恭平くんにチョコレートあげるんでしょう?」
「あげるのはあげるけど、深い意味はないぞ。舞人くんにも彩人くんにも上げるしな」
チョコレートを渡す相手について結城 香純が質問し、それに有村 藤花は淡々と返事を返した。ここは熊大第3迷宮。冒険者のひとりごと部隊は本日も地下2階のボス部屋を訪れており、先程からボスのコウモリ対戦士3人の戦闘が繰り広げられている。ボス戦が始まると後衛の3人は暇になるので、一般的には戦士を応援する時間となる。ただ、ずっと応援するのも面倒な気持ちも湧き、適当な話題で時間を潰すようなことも起きてしまうのである。今現在の話題は明後日に迫ったバレンタインデーの話であり、いつも仲が良く見える澤口 恭平と有村の状況について結城が質問し、有村が回答したのである。
「そろそろ付き合ったりとかはないんですか」
「付き合うねえ・・・ふむう」
個人的には2人はお似合いだと考えている高村 莉糸が尋ねてきた質問を聞いて、有村は少し考え始める。夢見の家系者として地元鹿児島では結構な有名人であり、今まで周りにあまり男性が寄ってこなかった。それもあり、男性と付き合うということをやったことがなく、それがどういうことなのかも良くわかっていないのだ。
「もし付き合うというのが、今以上に恭平と絡むようになるとすれば」
想像力を膨らませながら有村が言葉を漏らす。この次に出てくる言葉を結城と高村は期待して待っている。
「・・・鬱陶しい」
ある程度予想通りの言葉であったが、違う言葉を期待していた2人はこの言葉を聞いて大きくため息を吐いたのであった。