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1997年1月9日(木)《BN》
【新迷宮:湘南爆走隊部隊】
「じゃあ行きますか」
「和人よろしく」
準備が整ったことを平山 裕美が口にし、それを聞いた桜庭 敦子が扉を開ける指示を出した。ここは新迷宮。湘南爆走隊部隊は本日も地下2階を訪れている。ここしばらくトレーニングルームで戦士の実力アップに努めていたが、新年になったことあり、気持ちを新たに地下2階のボスに挑むことにしたのである。地下2階のボスは特殊であり、戦闘開始になった瞬間に部隊6人中の4人が行動不能に陥ってしまう。これはボスの他に見えない亜獣が1体存在しているからであり、戦闘開始からいかに早くその亜獣の存在を探知して消滅させるかが鍵となる。これさえ出来てしまえばボス1体対全員となるので、倒すのはそこまで困難ではない。
「行きます」
こう言った後で布川 和人は扉を蹴破り、部屋の中へと侵入した。部屋の中には変わったヘルメットを被った男が存在しており、こちらに視線を向けて微動だにせず立ち尽くしている。すると次の瞬間桜庭と布川、沖本 蓮香、高松 準也の体の自由が効かなくなった。
「探知します。しばらく耐えてください」
体が動かない状態で沖本が部屋の中を探知する。見えない敵の場所がわかりさえすれば島 可南子の攻撃呪文で倒すことができるのだ。
「やっぱり、ヘルメットがやっかい」
亜獣に向かっていった平山であるが、話に聞いていた通り攻撃する剣が全てヘルメットに引き寄せられてただヘルメットを殴るだけの状況になっている。亜獣の攻撃はそこまで厳しくないので、攻撃を避けることは出来ているが、この状況が長時間続けば負けるのは自分であるというのは容易に判断できるのである。
「いた。部屋の左奥の少し手前です」
「TNT爆発!」
見えない亜獣を探知した沖本の言葉を聞いて島がTNT爆発を唱える。その爆発音の中で亜獣の咆哮が聞こえ、全員の体が動くようになった。
「良し、じゃあ後は倒すだけだ」
こう言って桜庭が亜獣に向かい、それに布川も続く。そして高松と島の攻撃魔法も加わり、やがてヘルメットの亜獣は消滅したのである。この後は物質の回収と回復を経て、本日の探索を終了することにして迷宮を後にしたのであった。