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1999年7月27日(火)

【熊大第3迷宮:絶対運命黙示録部隊】
「これって毎回階段降りて来ないといけないのかな」
「それは大変やぞ」
 階段を降りた後で松 美由紀が漏らした言葉を聞いて、井上 貴志も言葉を続けた。ここは熊大第3迷宮。絶対運命黙示録部隊は先々週地下3階のボスをクリアしたので、本日から地下4階探索に入っている。地下1階から地下4階まで点在している階段を1つずつ降りてこないといけないので、歩く距離も長く、遭遇する亜獣の数も結構な数となる。第1迷宮も始めのうちは地下4階まで階段を利用して1階ずつ降りていたが、暗黒空間の奥にエレベータが発見されてからは、エレベータを使って地下4階に降りるのが通常ルートとなる。そして地下4階に降りた場所のすぐ近くに地下9階まで直通のエレベータも存在するのである。第1迷宮と第3迷宮が始めに探索を開始する迷宮という同じような意味合いなのであれば、第3迷宮にも階段を利用せずに下の階に降りれるような場所があってもおかしくはない。だが、今の所まだそのような場所は発見されてはいない。
「また空気が重くなったな」
「ズンとくる感じがするね」
 最後に降りてきた島津 亮二が発した言葉を聞いて、中村 瞬も同意である返事を返す。部隊の中でも魔術師と僧侶は特に空気の重さを感じやすく、階を降りるごとにそれを体感として感じるのである。そのことは罠解除士の飯島 志保も何となく感じることが出来るが、戦士の3人には全く気づかない程度のものだ。
「とりあえず探索するか」
 こう言って井上が探索開始の指示を出す。階段を降りた場所は通路の突き当たりの場所となっており、そこから真っ直ぐに通路が続いている。とりあえずその通路を真っ直ぐに進んでいくと左側に扉があるのを発見する。
「特に罠はないです。中に亜獣が4体います」
 瞬時に扉を調べた飯島が状況を報告する。それを聞いて井上が合図を出し、その合図を確認した栗原 慎が扉を蹴破った。中には砂でできた人型の亜獣と狼のような亜獣が2体ずつ存在している。
「大爆発」
「無効」
 即座に島津が狼に大爆発、中村が砂人間に無効を唱えて戦闘が開始される。さすがに地下4階の亜獣でもあり少し手こずったが、無事に殲滅に成功する。
「お疲れ様です。物質回収します」
 地下4階の初戦闘が無事に終わったので飯島が明るい声を出しながら物質回収に向かう。そして戦士3人は中村に回復を依頼した。この後はまっすぐのびる通路をもう少し先まで進み、2回ほど亜獣と遭遇したのでそれを殲滅し、本日の探索を終えることにしたのである。

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