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2024年10月24日(木)《GB》

《そして誰もいなくなった。アガサクリスティですかね。5人来て2人になって1人になって、そして・・・》
【魔術師鍛錬場:高村 莉糸・大林 睦美・夕陽 茜】
「何か、具合悪い」
「大丈夫?」
 気分悪そうにベンチに座っている高村 莉糸に向かって大林 睦美が心配そうに声をかけた。ここは午前中の魔術師鍛錬場。本日もたくさんの魔術師が鍛錬を行っている。高村と大林も朝早くから鍛錬場を訪れており、今まで集中して鍛錬を行っていたのである。ここ数日体調がすぐれない高村であるが、鍛錬を休むほどでもないので、今日もきちんと鍛錬にやって来た。だが鍛錬を初めて1時間ほどが過ぎ、いつも以上に疲労感を感じる自分の体に少し違和感を感じると同時に、今まで感じたことのない立っていられないほどの気分の悪さなのである。
「大丈夫。でも何か変」 
 とりあえず大丈夫であることを伝え、高村は大きく深呼吸をしながら息を整える。気分の悪さは快方に向かう様子は無いが、苦しさはだいぶん和らいできている。隣に座っている大林は相変わらず心配そうな表情を浮かべながら優しく背中をさすってくれている。このまましばらく時間が経ち、高村の体調は少しではあるが回復する。原因はわからないが、重大な病気などではなさそうだ。
「病院行ったがいいかもよ」
「そうだね。ちょっと行ってこようかな」
 顔を覗き込みながら発した大林の言葉に、高村は素直な返事を返す。この後、自分で歩けるぐらいまでに回復した高村は鍛錬を早退して病院で検査を受けることにした。この時、高村の頭に体調不良の理由の可能性が一瞬浮かんだので、鍛錬場を見渡して夕陽 茜を探してみる。いつものように71期のメンバーたちと一緒に鍛錬をしている夕陽を見つけることは出来たが、その周りにいるらしい狼の姿を見ることは出来なかった。同じ部隊の有村 藤花と結城 香純が持っているという特殊能力が自分にも発現したのでは無いかとの願望だったのだが、それは期待外れに終わったのであった。ちなみに病院に通院した高村は精密検査を受けたが、体に異常は全く見られず、体調不良の要因は不明のままであった。

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