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1999年8月12日(木)
【僧侶鍛錬場:太田 香澄・金尾 秀文・大畠 究】
「もう少しで何か出来そうなんだけど」
「そう言い出してから長いな」
ため息をつきながら発した太田 香澄の声を聞いて、金尾 秀文が軽く笑いながら返事を返した。ここは午前中の僧侶鍛錬場。本日もたくさんの僧侶が鍛錬を行なっている。本日も朝から鍛錬にやってきていた15期僧侶トリオの太田と金尾、大畠 究であるが、先程まで弟子達の指導を行なっており、現在弟子達は自主練を行なっている状況である。そこで3人は一緒に次の課題である天罰の発現に向けて一緒に鍛錬を行なっているところである。数日前から何となくではあるが、天罰を発現できるような感覚を太田は感じているが、実際にはまだ出来ていない。金尾と大畠に至ってはまだ出来る感覚が全く湧かないので、まだしばらく時間がかかりそうである。
「どうする、ちょい休憩する?」
「そうね、ちょっと疲れたかな」
休憩の提案をした大畠の言葉に太田が返事を返し、金尾も同意したので休憩のためにベンチに向かう。ベンチに座った3人は各々タオルで汗を拭いたり、飲み物で水分を補給する。僧侶の鍛錬は光球の発言と祈りであり、精神の集中がメインなので体力的にはそこまでの疲労はないが、精神的にはかなりの疲労を感じている。
「今日中にできそう?」
目を瞑って静かにしている太田に対して金尾が声をかける。別に今日成功させる必要が必ずしもあるわけではないが、15期3人揃っての鍛錬はいつでも出来るわけではないので、できれば一緒にいるときに初天罰を成功してもらって祝福をしたいと考えているのだ。
「いや、わからないけど、出来そうではある」
目を瞑ったままで太田は返事を返して大きく息を吐いた。この後もうしばらく休憩を続けて、再度鍛錬を開始する。天罰の発現に何度も挑戦しながらなかなか成功しないことに太田はイライラを募らせていく。そして、11時半を過ぎたあたりでそろそろ鍛錬を終えようかと話をしていたタイミングで無事に天罰の現象が目の前で発現した。それを確認した太田は大きく息を吐いた後で金尾と大畠に満面の笑顔でサムズアップをし、2人はそれに対して祝福で答えるのであった。