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1996年10月14日(月)《BN》

【戦士鍛錬場②:小林みゆき・山口 可奈・大田黒 佳美・古川 美穂・大塚 仁・富田 剛】
「おおー」
 新藤 麻乃の手のひらの上に光球が発現したのを見て、新冒険者たちからどよめきの声が上がった。ここは戦士鍛錬場②。先週合格発表と懇親会が行われた15期冒険者たちであるが、本日はここにてオリエンテーションが先程まで行われていた。そしてそれはつつがなく終了し、休憩を挟んで罠解除士、僧侶、魔術師のメンバーたちの能力解放を行っているのである。罠解除士、僧侶、魔術師の順に横一列に並んでもらい、1番端に立っていた新藤に対して、大塚 仁が能力解放を実施したのである。この効果で新藤が広げた手のひらの上に光球が発現したのだ。
「ありがとうございます。何か変な感じですね」
 先程までは全く出来なかったであろう現象を起こすことができ、新藤は不思議な表情を浮かべて大塚に礼の言葉をかける。そして少し集中した後で発現した光球を消して、再度出現させることに成功する。どうも能力解放を行えば、この光球を出したり消したりすることが出来るようだ。
「次行きますね」
 こう言って大塚は隣に立っている田村 沙織の背中に両手の手のひらをかざす。そして集中すること5分、田村が広げた手のひらの上にも光球が発現したのである。この後、残りの罠解除士3名と次に僧侶の5名まで能力解放を行い、一旦休憩する。いくら大塚といえどもいきなり15名の能力解放を実施するのは厳しいのである。
「手伝おうかー」
「いや、大丈夫そうっす」
 かなり疲労感を感じている様子の大塚に富田 剛が声をかける。能力解放自体は富田も行うことができるのだ。だが、大塚はその申し出をやんわりと断った。何かあった時のために一応来てもらっていただけで、元々大塚1人で対応する予定だったのである。それは富田も理解していたので、特にこれ以上突っ込むことはしなかった。この後休憩が終わり、残りの魔術師5名の能力解放を無事に終える。これにて本日のオリエンテーションは終了となり、解散となったのである。
「大塚くん、お疲れさま」
「いやー疲れました」
 簡単な片付けを行いながら山口 可奈が大塚に声をかけ、それに笑顔で返事を返す。この後、小林みゆき、大田黒 佳美、古川 美穂からも労いの言葉をかけてもらい、大塚は軽い満足感を持って、富田と一緒に戦士鍛錬場②を後にするのであった。

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