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1999年2月22日(月)

【熊大第2迷宮:湘南爆走隊部隊】
「えっと、何もいなさそうです」
 扉の奥の気配を察知していた沖本 蓮香がこのように報告をした。ここは熊大第2迷宮。本日も湘南爆走隊部隊は地下5階を訪れている。現在目の前には5の部屋の入り口だと思われる扉が存在しており、その扉の罠の有無と、扉の向こう側に存在する亜獣の気配を沖本が調べたが、扉には罠は存在しておらず、扉の奥に亜獣の気配はないようである。
「逆に不気味だね」
「でもまあ、行くしかないでしょう」
 思わず漏らした桜庭 敦子の言葉を聞いて布川 和人が考えを口にする。この後桜庭からの指示があったので布川は扉を思い切り蹴飛ばして中へと侵入する。扉の奥はある程度の広さの部屋となっており、特に何も存在していないようである。そして、奥側の壁の左側に扉が存在していた。
「この部屋はフェイクってことですかね」
「そんな感じはしなかったけどね」
 こう話しながら高松 準也と島 可南子も部屋の中央部分へと進んでいく。先程から沖本はこの部屋の隅々まで調べているが、特に部屋自体に変わった様子はない。そこで仕方なく、奥の扉に向かい、扉を調べる。
「この扉には罠がありますね」
 扉の数箇所に手を伸ばしながら沖本が答える。
「外せそう?」
「やってみる」
 後方から聞こえてきた桜庭の声を聞いて、特に振り返ることもなく沖本は返事を返し、罠解除を始める。しかし、この罠は少し複雑なようであり、解除することができなかった。
「すいません。無理です」
「仕方ない。気にしないー」
 振り返って、軽くため息をつきながら沖本が解除ができないことを報告し、それを聞いて平山 裕美が優しく声をかける。目の前の扉が開かないとなると、これ以上の探索は出来ないということになるので、本日は探索を終えて迷宮を後にすることにした。

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