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1997年2月7日(金)《BN》

【冒険者組織南地区:高宮 太輔・梅津 紗絵】
「あ、梅っちゃんだ。おはよう」
「あ、高宮くんおはよう」
 県道337号線を子飼橋方面から歩いてきている高宮 太輔に声をかけられた梅津 紗絵は笑顔で返事を返した。ここは冒険者組織地区を通る県道337号線。朝の通勤通学ラッシュの時間であり、たくさんの車や自転車が慌ただしく往来している。幹線道路でもあり、通行量も多いので朝からは結構な渋滞が発生する道路でもある。冒険者たちは通常朝9時から鍛錬を行うので、8時半ぐらいには冒険者組織本館に到着する者が多い。通勤手段は自動車、バイク、バスなどさまざまであるが、近辺に住んでいるものは徒歩や自転車で通勤している。梅津は実家が黒髪5丁目にあるので、通勤は実家から歩きであり、高宮は黒髪2丁目にマンションを借りているので、そこから徒歩でやってきているのである。
「それにしても今日も寒いねー」
「毎日寒いよね」
 県道から冒険者組織南地区に入り、冒険者組織本館へと向かう。その最中に高宮が本日の気温について口にし、それに梅津が同意の返事を返す。冬真っ盛りであり、毎日寒い日が続いている。天気予報によると本日の最高気温は9.4℃で最低気温は1℃である。十分な厚着をしていても凍える寒さであり、日々の挨拶の後の会話はだいたいこのフレーズが用いられる。この後も何気ない会話をしながら歩いていると、程なく組織本館に到着して2人は建物の中に入る。そしてエレベータで3階の戦士鍛錬場フロアへと到着した。
「じゃあのちほど」
「今日はブライアンだよー」
 右手を挙げて男子用更衣室に向かいながら言葉を発した高宮に後ろから梅津が声をかける。戦士の鍛錬は模擬戦が中心であり、通常2つの部隊合同で行われる。高宮や梅津が属する人類補完計画部隊は本日ブライアンお疲れ様部隊との鍛錬予定なので、そのことを伝達すると、高宮は振り返ることなく挙げた右腕をサムズアップにすることで返事を返したのであった。

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