1998年6月24日(水)
【魔術師鍛錬場:井口 咲江・水井 華代】
「やっと出来たー」
「あ、咲江ちゃんおめー」
大きく息を吐いた後、井口 咲江が嬉しい叫び声を発し、一緒に鍛錬していた水井 華代がそのことに気づいて祝福した。ここは午前中の魔術師鍛錬場。本日もたくさんの魔術師が鍛錬を行っている。16期で2人だけ残っている井口と水井はここ最近は大爆発ができるように日々鍛錬を行っている。なかなか成功せずに日々イライラすることもあったが、本日井口が成功したのである。
「先輩たちが言ってるのがわかった。一回できると何て事ないんだよね」
そう言って坂野は目の前の空間に光球を出しては大爆発を繰り返す。それを水井は羨ましそうに見つめていたが、羨ましがってはいられないと気合いを入れ直し鍛錬を再開する。
「そういえばさ」
まだ興奮冷めやらない表情で井口が声をかける。
「華代午後から何か予定ある?」
「今日?特に何もないけど」
この後の予定を尋ねられた水井は予定がないことを正直答えた。
「あ、良かった。じゃあ鶴屋に付き合ってくれない?私大爆発出来たら自分にご褒美で高級和菓子を買うって決めてたの」
笑顔を浮かべて井口がこのように言葉を発したので、水井は特に予定もないことから、この提案を了承することにした。