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2024年8月1日(木)《GB》

《熊本は出身高校を気にされる方が多い気がします。地域性なのかどうかはわかりませんが。さて》
【済々黌:立石 麗奈】
「ここが済々黌か」
 正門から中に入り、黌内を歩きながら立石 麗奈は感嘆の言葉を漏らした。ここは済々黌。熊本県央学区にある公立高校であり、熊本で1番歴史と伝統がある学校である。昨日の夕方に父親の立石 啓二と人吉から熊本市に移動した麗奈であるが、父親は富田 剛と一緒に街に飲みに行ったので、麗奈は富田家で一晩を過ごすことになった。小さい頃から兄姉のように仲が良かった富田 正継や富田 水無も居たので、一緒に済々黌の話などで盛り上がり、遅くならないうちにその日は眠りにつく。ちなみに父親の立石は朝まで飲んでいたらしく、そのまま実家に戻ったらしい。ただ、朝にはきちんと起きて一緒に学黌説明会には参加してくれた。済々黌の学黌説明会は県立劇場コンサートホールで行われ、保護者同伴のたくさんの受験予定者が集まっていた。そしてその会はお昼前には終了し、午後から学内見学希望であれば見学が出来るという流れであった。麗奈は朝は富田家から正継に送ってもらい、立石はタクシーで県立劇場に移動した。そして会が終わった後はタクシーで富田家まで戻ってきたのである。
「麗奈ごめん。ちょっとお父さん学校見学は無理」
 こう言って立石は富田家のソファーでブラックアウトする。そこで麗奈は済々黌の学内見学を1人で参加することにした。富田家から済々黌まではそこまで遠い距離ではないので、スマホの地図アプリを利用して歩いて済々黌へと向かう。本日も熊本は日差しが厳しく、なるべく日陰を探しながら進んでいくと、目の前に正門が見開け、そのまま校内に進入したのである。
「やっぱり何か歴史と伝統を感じる」
 さすが熊本屈指の伝統校だけあり、何とも言えない威圧感をひしひしと感じる。中にはその雰囲気に気取られる者もいるかもしれないが、麗奈は逆にやる気がみなぎり、絶対に合格すると決意するのであった。

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