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1998年7月13日(月)

【罠解除士鍛錬場:辻井 冬実・八田 宏紀】
「あ、クリアできた」
 今まで目の前に存在していた罠が消滅して、辻井 冬実が嬉しい叫びを発した。ここは午前中の罠解除士鍛錬場。本日もたくさんの罠解除士が鍛錬を行っている。本日午前中から罠解除装置利用していた辻井と八田 宏紀であるが、たった今レベル3の罠解除に辻井が成功したのである。
「おー、クリアおめー」
 こちらを見ながら笑顔を浮かべて八田が軽く拍手をしているので、それにサムズアップで返し、笑顔を浮かべる。レベル3クリアまでにかなりの時間を要したこともあり、ある程度の達成感を感じている。
「やっぱり辻井さんが1番だったか」
「すぐに出来るようになるよ」
 八田に近づいていくと声をかけられたので、辻井はそれに応える。17期の罠解除士は現在3名残っており、辻井と八田、それと本日探索を行っている田邉 早記だ。3人は互いに切磋琢磨しながら成長することを誓っており、罠解除装置も誰が1番早くクリアできるかを日々競っているのである。レベル2の成功も辻井が1番であったが、レベル3も先にクリアされてしまったのだ。
「田邉さんも悔しがるな」
 そう言いながら八田は罠解除装置に向かい、レベル3をセットする。そして大きく息を吐いた後、罠解除を始めた。
「飛んでイスターンブール」
 罠解除に失敗した八田が大声で歌いながら吹っ飛ばされたのを見て、辻井は軽くため息を吐いた。

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