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2000年1月27日(木)

【魔術師鍛錬場:大宮 弘典・佐倉 道雄・鶴岡 進太郎・末広 伶奈・左村 亜香里】
「何か出来そうっす」
「本当?頑張って」
 目の前に浮かんでいる光球を見つめながら大宮 弘典が言葉を漏らし、それを聞いた左村 亜香里が激励を口にした。ここは午前中の魔術師鍛錬場。本日もたくさんの魔術師が鍛錬を行っている。本日も各所で師匠と弟子たちが集まってそれぞれ鍛錬を行っているが、大宮と鶴岡 進太郎の師匠である高松 準也は本日探索日なので、佐倉 道雄や末広 伶奈と一緒に左村から指導を受けているのだ。現在4人とも爆発発現に向けて鍛錬を行っているが、21期の鶴岡と末広が習得するにはあと半年ほどの鍛錬が必要で、20期の大宮と佐倉はそろそろ習得しても良いタイミングとなっている。そして先ほど大宮が発動できそうだと報告したのである。
「出来そうとはこれいかに」
「わからないですねー」
 見た感じ浮かんでいる光球には何の変化もない。出来そうとはどのような感覚から感じているのかがわからず佐倉が言葉を漏らし、それに末広が軽く返事を返した。文字通り目の前に浮かんだ光球が爆発すれば習得ということになるのだが、大宮の光球は相変わらず変化がないし、佐倉に至っては出来る感覚がまだ全くないのである。
「頭にイメージは浮かんでいるんですよね。後はこれを実行するだけなのですが」
 一段と集中しながら大宮が言葉を述べる。周りのメンバーもしばらく大宮の光球に目を向けていたが、光球が変化することはなかった。
「はー、まじか」
 大きく息を吐いた後で大宮は言葉を吐き捨てるが、浮かんでいる光球はいつものように何も変化せず浮かんでいるままだ。
「大宮くん。疲れたなら少し休んだ方がいいよ。リフレッシュしたら出来るかも。みんなもちょっと一緒に休憩しましょう」
 この左村の声を聞いて全員で一旦休憩に入ることにする。各自お手洗いや水分補給などを行い15分程度の休憩時間を過ごす。この間に大宮は別に今日無理やり爆発を習得する必要もないことを認識し、休憩後は気楽にやろうと心に決めた。これが良かったのかはわからないが鍛錬再開後5分程度で爆発の発現に成功したのであった。

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