1996年10月19日(土)《BN》
【道:前田 法重・中島 一州・原田 公司・大塚 仁・中尾 智史・本田 仁】
「また物騒な事件ですなあ」
「あんなのいたらパニックですよね」
宴会開始後の盛り上がりが収まったタイミングで始まった話題について原田 公司が言葉を漏らし、それに大塚 仁が返事を返した。ここは居酒屋『道』。本日もたくさんの客で賑わっている。前田 法重とサポーターの面々もいつものように集合して、いつものように宴会を開始している。現在話している話題はおととい起こった事件であり、宮崎県に住む男性が、猟銃で知人男性を射殺し、その後銃を乱射しながら車で約60kmほど逃走したという事件である。犯人は逮捕されているが、猟銃で殺人が起こったことはかなりショッキングであり、メディアも今後の猟銃の是非を含めて神妙に報道しているのである。日本は基本的には銃は禁止されており、一般人が銃を所持することは出来ない。だが、猟銃に関しては免許を取得すれば所持できるのである。もちろん使用用途は猟に限定されるので、これで人を殺めたということになれば、猟銃所持自体に対する是非が問われることになるのである。
「猟銃自体は必要ですからな」
「何でもそうだけど使い方って話になるよね」
猟銃所持の是非について前田が口にし、それを聞いて中島 一州が意見をを述べる。野生動物の駆除のため、猟銃自体は必要不可欠なものである。ただ、それで人を傷つけることが出来るのも確かなので、その所持や使用には明確な制限が必要となる。とはいえ、人を傷つけることが出来るものはこの世に溢れており、刃物もそうだし自動車やトラックなどもこれに当てはまる。特に大型トラックの危険性は安全運転に裏付けされているだけで、歩道に歩いている集団に突っ込めば数人の命を奪うことなど簡単なのである。このように安全に使用しているだけで、その使用法を間違えれば明らかに危険な物はこの世に溢れているので猟銃だけを取り上げて是非を問うのは違う気がしないこともない。
「まあ、とりあえず俺らには関係ないかな」
「前田さんの殺すリストに入らないことを祈るだけです」
「そんなのねーよ」
黒髪の地区性から猟銃とは疎遠であることを本田 仁が口にする。それを聞いた中尾 智史が猟銃とは別の生存に関する項目を口にし、前田は軽くその言を否定したのであった。
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