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1996年11月12日(火)《BN》
【僧侶鍛錬場:藍 泰久・布川 蓮・島倉 万祐子・直井 加恵】
「あ、藍くんおめー」
「藍くん出来てる。さっすがー」
藍 泰久の手のひらの上に出現した虹色の光球を確認した布川 蓮が声を挙げて、それに島倉 万祐子が言葉を続けた。ここは午前中の僧侶鍛錬場。本日もたくさんの僧侶が鍛錬を行っている。11期の僧侶である藍と布川、島倉、直井 加恵の4人は本日も朝から一緒に鍛錬を行っている。現在特に力を入れている鍛錬は虹色の光球の発現についてであり、しばらくこれにかかりきりだったが、先ほど藍が虹色の光球の発現に成功したのである。
「ありがとう。ちょっとホッとした」
「私たちも負けてられないな」
一緒に鍛錬を行っている3人に藍が礼を返し、その後で直井が考えていることを口にした。一般的なスケジュールによると、11期の僧侶が虹色の光球を発現させるのはまさに今である11月となっている。もちろんスケジュールよりも早く成功できる冒険者もいれば、それより遅くなる冒険者も存在する。冒険者によって得意不得意がどうしても出てくるので、課題課題によって進捗が変わるのは良くあることなのである。
「そういえば藍くんと土川くんって虹色の光球先に出したほうに昼飯奢るとか行ってなかった?」
「あ、そういやそんな話した気がするなあ。忘れてたけど」
以前鍛錬中に藍と本日探索を行っているのでこの場にはいない土川 洋和が話していた内容を布川が口にし、それを聞いた藍が何かを思い出すような表情で返事を返した。今までも色々なことで食事を賭けたりはしていたので、この虹の光球もその約束をしたのかどうかははっきり覚えていない。だが、布川がそれを聞いたというのであるが、信ぴょう性は高いかもしれない。
「ということで、今日の昼は藍くんの虹光球成功記念でお昼一緒に食べに行きましょう。もちろん土川くんの奢りで」
「えっと、皆さんの分も土川が奢るのでしょうか」
この藍の言葉に布川は笑顔で大きく首を縦に振り、島倉と直井は何とも言えない表情を浮かべていた。この後は時間まで鍛錬を行い、鍛錬を終えた土川と合流する。そして先程までの話の流れを説明すると、虹の光球発現を祝福した後でそれが当然のように土川は自分が全員分の昼食を奢るといったので、全員で『南食レストラン』へと向かったのであった。