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1999年6月10日(木)

【熊大第2迷宮:湘南爆走隊部隊】

「さて、後はここで狩る日々だな」
「てへトリオさんたちと並んだわね」
 大きく背伸びをしながら発した桜庭 敦子を聞いて、平山 裕美が返事を返した。ここは熊大第2迷宮。湘南爆走隊部隊は先週第2迷宮をクリアしたので、本日は地下6階鏡の間を訪れている。この部屋のことは黒髪てへトリオ部隊の先輩たちから詳細は聞いており、鏡にかかっている罠を外すと、何かと良くわからない亜獣が出現するという話である。また、この亜獣からは確率的には高くはないが非常に高価でレアな物質が精製されることもあるので、ここの探索で十分な報酬を得ることも可能なのである。ちなみに現在第2迷宮をクリアしているのはてへトリオ部隊と湘爆部隊の2部隊であり、次に進度が進んでいるのが>>1さん部隊の地下2階という状況である。
「ではやってみますか」
 こう口にして、罠解除士の沖本 蓮香が鏡に近づいていく。そしてしばらく罠を解除する動作を行っていたが、大きく息を吐いた後、後方に下がって来た。
「解除しました」
 この声を聞いて、全員が緊張し、出てくる亜獣に集中する。出て来た亜獣は第1迷宮の上層に存在していた亜獣であり、初回の召喚としては緊張の割には拍子抜けの状況であった。軽く亜獣は殲滅し、物質回収を行った後、再度鏡の罠解除を行う。次の出現したのは今までの探索では見たことのない亜獣であった。だが、筋骨隆々で、プロレスラーみたいな格好をしたその女性の出典はわかりやすく、次に発する言葉も容易に予想できた。
「ダッダーン、ボヨヨンボヨヨン」
「TNT爆発」
 こう叫びながら近づいてきた亜獣に対して、高松 準也と島 可南子がTNT爆発を唱える。流石に呪文だけは倒せない様子だ。
「行くよ!」
 こう叫んで桜庭 敦子が亜獣に向かい、平山 裕美と布川 和人もそれに続く。その亜獣は予想以上には強かったが、倒せないほどではなかったので、しばらく戦ったのち、消滅に成功した。
「物質回収します」
 こう叫んだ沖本が物質回収に向かい、ダメージを受けた戦士が布川から順番に回復を施される。この後、物質回収と回復が終わり、再度亜獣を出現させる。結果本日は4回亜獣を出現させたが、変わった亜獣はあの女性亜獣だけだったのである。

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