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2024年12月20日(金)《GB》

《何とドウデュースが出走回避。波乱の有馬記念になりそうですがどうでしょう。まだまだお悩み中》
【AXIS:桑野 絵梨花・富田 剛】
「桑野さんお疲れー」
「あ,店長お疲れ様です」
 閉店の12時少し前に店内に入ってきた富田 剛がかけて来た声に桑野 絵梨花が返事を返した。ここはゲーム&喫茶『AXIS』ゲーセン部。あと数分で閉店の時間なので、店内には蛍の光が流れ、すでに客はいなくなっている状況だ。そこで桑野はすでに閉店作業に入っており、両替機の精算や店内の清掃などをテキパキと行っていたのである。するといかにも飲み会帰りの富田が店内に入って来たので、一旦動きを止めて挨拶をしたのである。
「もう客いないかね。閉店作業手伝うよ」
 こう言って富田は店内を見渡して、まだ作業が終わっていなさそうな業務を行い始める。
「店長、大丈夫ですよ。もうそんなに時間かからないと思いますし」
 このように桑野が声をかけたが、聞こえていないのか富田は黙々と作業を行っている。
「店長明日朝からなので早く休んだほうがいいですよ」
 手伝ってくれるのは嬉しくないこともないが、富田の体力的なことも心配してこう呼びかける。すると富田は一旦手を止めて口を開く。
「いや、ちょっと飲み足りないのでどうせ上に上がっても追加で飲むんだよね。だから別に手伝う時間ぐらいは誤差の範囲だよ」
 こう言って次々と閉店作業を進めていくのを眺めていると、手伝ってもらう方が正なのではないかと感じ始めたので、そのまま手伝ってもらうことにする。
「ところで今日は何時から飲んでるんですか?」
 作業をしながら気になったことを桑野が尋ねてみる。ちょっと飲み足りないと言ってたので、飲み会の時間が短かったのではと考えたのだ。
「えっと、桑野さんと店交代してからそのまますぐ『道』に行ったから5時過ぎだね」
 記憶を思い出すように富田が言葉を漏らし、それを聞いて桑野は大きなため息をついた。5時過ぎから12時までは7時間程度ある。その時間飲み続けて飲み足りないというセリフを吐くのは明らかに頭がおかしいと思わざるを得ない。そうこうしているうちに閉店作業が終了したので桑野が声をかける。
「店長、閉店作業手伝ってくれてありがとうございました。じゃあ帰りましょう」
「おう、お疲れやったね」
 こう話した2人は入り口から外に出て、桑野がしっかりと鍵をかけた後で富田は2階に、桑野は自分の家に帰るのであった。

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