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1996年12月11日(水)《BN》
【森の小径:前野 諭子・雨宮 英利香・鬼塚 茉莉花】
「クリスマスが今年もやってくるー♪」
「それ聞くとケンタッキー食べたくなるな」
食後のティータイムに何気に前野 諭子が口づさんだ歌を聞いて雨宮 英利香が軽く返事を返した。ここはお昼過ぎの喫茶店『森の小径』。前野と雨宮、鬼塚 茉莉花は午前中の鍛錬の後、冒険者組織入り口で待ち合わせ、一緒にここにランチを食べにやって来ている。12月も中旬となり、テレビでも先程の歌が頻繁に流れてくる様になってきた。クリスマスソングというのはたくさんあるが、何だかんだで全国民が一番耳にするのはこのクリスマスソングであろう。
「クリスマスが来るのはいいんだけど」
「今年も何も予定が無いんだよねー」
軽くため息をつきながら発した鬼塚の言葉に続けて雨宮も発言する。それを聞いて前野も軽く頷きを見せた。恋人がいる人にとってこの時期は非常に盛り上がるのであるが、いない人にとっては単なる日常である。この3人も現在彼氏がいないので、クリスマスはノンロマンスで過ごす予定なのだ。
「私らも彼氏作らないとね」
今の状況を変えるべく前野が言葉を漏らす。普段はあまり考えることもないが、やはりクリスマスの雰囲気がそのような思想が湧き上がらせるのであろう。
「良し、じゃあ来年のクリスマスは彼氏と過ごせるように、来年の前半ぐらいまでには彼氏を作ろう」
「良い人がいればいいんだけどねー」
少し気合を入れた雨宮の発言に、鬼塚が感想を述べた。彼氏を作るためにはその対象の男性が必要であり、今の状況だと熊大生か冒険者ぐらいしか出会いがないのは確かである。この後、現在自分たちの周りにいる熊大生や冒険者を一人一人評価し、結論的には新たな出会いに期待しようという結論に落ち着いた3人であった。