見出し画像

2000年1月18日(火)

【熊大第3迷宮:絶対運命黙示録部隊】
「志保、頑張れー」
「頑張っちゃーいますが」
 後方から聞こえてきた松 美由紀の声援に少し厳しそうな口調で飯島 志保が返事を返した。ここは熊大第3迷宮。絶対運命黙示録部隊は本日も地下5階を訪れている。いつものようにまずは飯島が奥にボス部屋があると思われる扉の罠解除を試してみる。前回の感想ではそろそろ解除できそうだと話していたが、先程まで本人が漏らしていた言葉から察するに、まだ解除は難しそうだ。
「志保ちゃーん。解除できたらケーキ奢ったるよ」
「じゃあ俺はホットココア奢ったる」
 やる気を出そうと、井上 貴志と栗原 慎が甘いもので釣ってみる。すると気配が変わり、飯島が少しやる気を出したような雰囲気となる。
「じゃあ俺は陣太鼓かな」
「鹿児島まで一緒に行くなら白くま奢るぞ」
 もっとやる気を出すように中村 瞬が熊本銘菓を口にし,鹿児島出身の島津 亮二は鹿児島といえばお馴染みの白くまの名前を出した。ここまで言われると解除しないわけにはいかない飯島はいつも以上の集中力を発揮して、何とか罠を解除することができた。だが、解除にはほぼ全ての集中力を使ったので、かなりフラフラしながら、解除を報告した。
「おお、志保ちゃんお疲れー」
「少し休んどいていいよ」
 罠の解除を聞いて井上が労いの言葉をかけて、栗原も優しい言葉をかけ、その後に扉を蹴破った。そこは予想通りボス部屋であり、いつものオブジェが部屋の右奥に存在している。
「さて、ボス戦なのだが、地下5階なのでおそらく1対1タイプの奴や。誰から行く?」
「お二方のどちらかでお願いします」
 ボス戦の順番をどうするか提案した井上の言葉に、松はお先にどうぞと口にする。そこで井上と栗原が検討した結果、まずは井上から挑戦することになった。いつものオブジェまで歩いて行き、右手を口に部分に差し込む。するといつものように煙が巻き上がり、亜獣が出現した。
「盛り上がっちゃってるねぇ、俺っちもまぜてもらえっかい?」
 出現した亜獣は若くてイケメンの剣士であり、口にタバコを咥えている。井上はすぐにこのボスの実力を察し、かなり強いと感じることができた。
「勝負!」
 こう叫ぶことで気合を入れた井上はイケメン剣士に向かっていく。最初のイメージ通りこのイケメン剣士の剣筋はかなり速く、井上は攻撃を避け切らずに結構なダメージを喰らってしまう。だが、それでも隙をみて確実に反撃し、ダメージの応酬合戦のような様相になる。お互いにだいぶん動きが鈍くなってきたその時に井上の渾身の一撃がイケメン戦士に突き刺さり、これにて勝負は終了となる。
「この死に方は考えてなかったさ」
 イケメン戦士は最後もカッコよく決めながら静かに消滅していった。
「強かったですね。物質回収します」
 こう言いながら物質を回収に向かう飯島とすれ違いながら井上は部隊の場所まで移動し、中村に回復を依頼した。流石に喰らったダメージが大きかったようで、回復には結構な時間を要したのである。このあと、順番に栗原、松もイケメン戦士と対戦を行い、辛くも勝利したが、2人ともかなりのダメージを喰らったのであった。ちなみにこの探索の間中、このボスのことをイケメン剣士と呼んでいたが、この名前で定着させるのが何と無く納得がいかない井上と栗原の意見を聞いて、最終的にこのボスの名称はくわえタバコになったのである。

いいなと思ったら応援しよう!