2025年1月5日（日）《GB》

《皆様初夢は見られましたでしょうか？最近めっきり夢を見なくなりました。見る夢も叶う夢もないかな》
【AXIS：有村　藤花・澤口　恭平・富田　水無】
「へー、珍しいこともあるもんだね」
「俺しばらく夢見てないなあ」
　少し驚いた表情を浮かべて富田　水無が漏らした言葉に、澤口　恭平が感想を続けた。ここはゲーム＆喫茶『AXIS』喫茶部。現在15時を少し過ぎた時間であり、先程まで喫茶部を手伝っていた富田が仕事終わりとなったので、客として来ていた有村　藤花と澤口が座っていたテーブルに合流したのである。自分の夢見の能力については親友の富田にも話していないが、自分の特徴として毎日夢を見るということは話をしていた。これは別に夢見に限らずともそのような人はいるだろうし、特に富田も疑問には思っていなかった。だがその有村が今年から夢を見なくなったことについては何か理由があるのではないかと勝手に推測をしているのである。ちなみに有村と澤口が一緒にいるのはもちろん一緒に来たわけでも示し合わせて来たわけでもなく、たまたまだということを澤口は主張している。
「別に体調が悪いとかじゃないから心配しないでね」
　夢見として夢を見ないという事実が体調に影響するものではないことを有村は知っているので、心配をしないように2人に告げる。だがこれを聞いた2人にとっては夢を見なくなる理由として体調以外に何も思いつかないため、何かしら有村の体に異変が起こっていると考えるのだ。
「もしかしてウームが原因とか」
「関係ないと思うけどなあ」
　理由として考えられることを富田が口にし、それを聞いた有村は返事を返しながらウームを発現させてみる。すると発現したユニコーンは相変わらず頭を上げ下げしながら関係ないと主張しているようだ。そもそも有村以外の夢見達も一斉に夢を見なくなっているのでウームによる有村の体調の変化が理由とは考えられないのである。
「恭平くんは体調の変化はないの」
　同じようにウームを発現している澤口に対して富田が質問してみる。すると少し考えた後で返事が帰ってきた。
「相変わらず元気っす。藤花さんへの愛のパワーが全開っす」
「2025年も相変わらず鬱陶しいな。今年1年そのテンション続けたら褒めてやるよ」
　力こぶしを握りながら元気に発言した澤口の言葉を聞いて、ため息をつきながら有村が返事を返したのであった。