見出し画像

1998年10月30日(金)

【AXIS:富田 剛・外口 デニム・桑野 沙織・桑野 絵梨花】
「デニム上手ー」
「デニムお兄ちゃんでしょう」
 拍手をしながら叫ぶ桑野 絵梨花に桑野 沙織が厳しく注意をした。ここはゲーム&喫茶『AXIS』。夕方の時間帯であり、客も少なくのんびりとした雰囲気が店内には漂っている。最近良くここにやってくるようになった外口 デニムは音ゲーを中心にゲームを行っているが、小さい子供用のゲームコーナーにいる桑野姉妹と何やら仲良くなっている。大人が見ると金髪で多少いかつく見える外見は、小学生から見るとそのようには見えないようであり、特に小3の絵梨花に懐かれているのである。目立つ外見なので漫画かアニメに出てくるキャラクターか何かと思われているのかもしれない。たった今ダンスダンスレボリューションのプレイを終えた外口は絵梨花とハイタッチを行い、近くにある椅子に腰掛けた。
「日に日に上手になるね。どぞ」
「あ、店長さん。お疲れ様です。いただきます」
 息を切らしながら休憩していう外口に店長の富田 剛が冷えたお茶缶を渡し、外口はお礼を述べてそれを受け取った。そして外口は缶を開けて一気にお茶を飲み干す。
「あと、あの姉妹の相手をしてくれてて助かるよ。いつもお母さんが迎えにくるまでここで待ってるからね」
「そうなんですね。何で小学生がいるんだろうとは思ってたんですよ」
 礼を述べる富田の言葉に外口は正直な感想を口にする。
「でも相手にするのはいいですよ。俺4人兄弟の末っ子だから妹欲しかったし。懐いてくれてるし。夕方暇な時は相手しに来ますね」
 笑顔でこう述べる外口を見て、見かけによらず中身は真面目なことを感じて、安心する富田であった。 

いいなと思ったら応援しよう!