1998年8月20日（木）

【アクシズ：大塚　仁・本田　仁】
「記憶にございません」
　本日のランチである唐揚げ定食を食べながら本田　仁が政治家が発言するような言葉を口にした。ここは喫茶『アクシズ』。本日午前中鍛錬を行った後、本田と大塚　仁は待ち合わせ、ここでランチを食べているのである。初めは最近のアニメやゲームなどの話を行っていたが、その後大塚の奥さんや娘の話になり、ところで本田はという話になったのである。思い返すと大塚が聞いた話だけでも噂になった女性の名前は何人か浮かんでくるが、現在本田は結婚しておらず、彼女もいないのである。そこで大塚が以前の女性達とは結局どうなったのかを尋ね、本田が回答したのである。
「記憶にねーことはねーやろ」
　笑いながら大塚が豪快にツッコミを入れる。だが、本田はその言葉を軽くスルーする」
「まあ、諸行無常、盛者必衰、過ぎたるは及ばざるがごとしって言うからね」
　そう言いながら本田は唐揚げの最後の1つを口に運ぶ。微妙な話の逸らし方に大塚は多少不満であるが、いつものことと言えばいつものことなので納得することにする。それにしても冒険者は意外と狭いコミュニティなので、誰と誰が付き合ったり別れたりと言うのは結構簡単に広まるものである。自分もそうだったし、周りの先輩達もそのような傾向にあった。だが、本田が女性と付き合ったとか別れたと言う情報はあまり出回らない。よほど隠密に行っているか、そのような事象がないかということだが、おそらく前者になるのであろう。
「まあ良いけど、何かあったら隠さずに教えてな」
　そういって大塚は食後のコーヒーを口に運び、満足な表情を浮かべた。