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2000年2月10日(木)

【南地区レストラン:藤井 淳紀・前村 亮二・福永 菜月・宮本 紳・鹿本 芽衣・大河原 美沙】 
「この部隊での探索もあと2回だな」
「何だかんだで4年以上も一緒だったんですよね。感慨深いです」
 食後のコーヒーを口に運んだ後で藤井 淳紀が発した言葉に前村 亮二が感想を続けた。ここは『南地区レストラン』。お昼過ぎの時間であり店内にはたくさんの客が訪れている。本日午前中は第2迷宮の地下3階を探索したいつかは最強いつでも最強部隊であるが、無事に探索を終了した後でここに移動し、昼食を食べているのである。藤井と福永 菜月の結婚を理由に2月末での解散を決めているいつかは最強部隊であるが、前村と宮本 紳、大河原 美沙はそのまま冒険者として残り、鹿本 芽衣はこのタイミングで一緒に引退することを決めている。
「何か初めて出会った頃が懐かしいですよね」
「このメンバーになったのも運命的だったかもね」
 昔を思い出しながら鹿本が口にした言葉を聞いて、福永も懐かしい感情を込めて返事を返す。13期の部隊編成はそれまでとは少し状況が異なり、元罠解除士の富田 剛と現魔術師の本田 仁の思いつきにより、各職業の最強メンバーで1つの部隊を結成される。それが後の>>1さん部隊であるが、その他の冒険者たちはその状況に多少の不満を抱きながら部隊編成を行う。まずは元々12期の不合格者同士で知り合いの藤井と前村は同じ部隊になることが決まっており、後は残り4人のメンバーを探す状況となる。まずはふとしたタイミングで目にした僧侶があまりにも可愛かったので、前村が声をかけたのが鹿本である。声をかけた動機は不純だったのだが、そこは口が上手い前村のトークに上手く丸め込まれる形で部隊への参加を決める。そして次に悩める薙刀使いの福永 菜月との出会いが訪れる。これまで存在してない薙刀タイプの武器製作のヒントを藤井が行ったことで知り合いとなり、そのお礼として福永は同じ部隊になることを決意したのだ。そしてこの後は生協食堂に部隊メンバー募集の張り紙をするという古典的な募集活動を行う。するとそこにやってきたのはいかにも魔術師のコスプレをした大河原 美沙である。この外見を見て仲間にするかどうかの話し合いはかなり紛糾したが、結果的には仲間に迎え入れることなる。残りは罠解除士1名であるが、申し込みがあり面接にやってきた宮本 紳は一見性格が暗く、軽いコミュ症のようである。ただ13期試験を合格してきたことは確かであり、潜在能力の高さに期待して部隊に迎え入れることを決めたのである。
「懐かしいな。紳は別人だな」
「言われると思いました。俺も垢抜けたものです」
 少し嫌味な口ぶりで藤井が発した言葉に、宮本は笑いながら返事を返す。冒険者になったころの宮本であればこんな軽い返事は返せなかっただろうと全員が思いながら、一緒に笑顔を浮かべるのであった。

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