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2000年1月11日(火)
【戦士鍛錬場:前田 法重・原田 公司・中尾 智史・高嶋 美樹】
「結構決まっている人いるんだっけ?」
「そうですね。湘爆は部隊ごとみたいですね。後、戦士だと藤井くんと福永さん、高宮くんは引退申請が出てます」
この時期特有の話題について前田 法重が質問し、それに教官の高嶋 美樹が返事を返した。ここは午前中の戦士鍛錬場。本日もたくさんの戦士が鍛錬を行っている。冒険者は冒険者組織と雇用契約を結んでいるが、もちろん終身雇用のはずがなく、期間契約で雇用されている。その期間は3月から2月に設定されており、毎年2月に契約を更新するかどうかを冒険者側で判断を行う。もちろんこのタイミング以外で冒険者を引退することもできるが、それは契約的には違反扱いとなるので、退職時に取得できる権利がある程度放棄される。この点もあるので、引退を考えている冒険者たちは2月末で契約を継続せずに引退という形が一般的となるのだ。
「あ、布川くんたちも引退するんだ」
「何か楽しく無いって言ってたもんな」
湘爆の引退を聞いて原田 公司が言葉を漏らし、それに中尾 智史が以前聞いた話を口にした。湘爆部隊はすでに第2迷宮をクリアしており,現在地下6階の鏡の間で出現する亜獣を狩ることを続けている。ここで出現する亜獣から採取できるレア物質はかなり高価なので、お金を稼ぐだけの目的であればその意図には即している。だが、ある程度の危険があるのは確かであるし、冒険者として新たな発見をすることもないので、単調な作業に楽しみを感じなくなってしまうのは仕方がないことである。
「そうか、湘爆やめたら、次は13期やな」
「実質トップは13期ってことになるな」
湘爆部隊が引退した後の冒険者の序列について原田が口にし、それを聞いた前田が考えを述べる。1期生が存在する黒髪てへトリオ部隊は別格として、今までは7期と9期で編成されている湘爆部隊がその次の部隊として実質的なトップだと認識されていた。しかし3月からはてへトリオの下は13期になるので、おそらく>>1さん部隊が実質トップになるのであろう。
「毎年のことだけど寂しくなるな」
「まあ、仕方ないっすよ。さ、鍛錬しますか」
思わず言葉を漏らした原田の言葉を聞いて中尾が返事を返しながら立ち上がる。これを見て前田と原田も立ち上がり、鍛錬を再開するのであった。