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2024年11月1日(金)《GB》
《今日から11月。今年もあと2ヶ月です。あっという間に過ぎるんだろうなあ。やることやらねば》
【富田邸:富田 穂樽・富田 剛・富田 さやか】
「いよいよ明日だな」
「本当にお世話になりました。お父さん、お母さん」
一緒に夕食を食べ終えて一息ついた後で、ビールを飲みながら発した富田 剛の言葉を聞いて、富田 穂樽が返事を返した。ここは富田邸。リビングにあるテーブルには父親の富田、母親の富田 さやか、そして長女の穂樽が座っている。穂樽とお相手の中島 憲次のよる結婚式が明日の午後、ホテルキャッスルで行われることとなっている。結婚前の最後の1日は両親と過ごしたいという気持ちから穂樽は先程実家に帰って来ており、最後の夕食を一緒楽しんだのである。ちなみに現在はまだ『AXIS』は営業しているので、今の時間は富田 正継と富田 水無で喫茶部を担当し、桑野 絵梨花がゲーセン部を見てくれているのだ。
「お父さんは本当に穂樽が好きでしたもんね」
昔を思い出しながらさやかが言葉を漏らす。富田は結婚当初から子供を非常に欲しがっており、生まれてきた穂樽をそれは溺愛していたのである。そしてそれは弟の正継が生まれるまでの3年間は続いていたのだ。
「良く言ってたもんね。穂樽ーパパだよー。そしてこれはパンダって」
「かすかに記憶がある」
昔の富田の口癖をさやかが説明し、その言葉を何となく覚えていた穂樽がそのことを口にした。パパとパンダをかけるのは面白おかし過ぎるので、さすが富田だという評価になるが、良く考えればパしか共通点がないことを後世の歴史家は気づいたようである。
「ところで荷物は片付いたのかい」
「うん。とっくに部屋は引き払ってる」
かなり前から荷物の運び出しは行っていたが、そのことには関与してなかった富田が質問し、それに穂樽は笑顔で返事を返す。今まで見慣れた穂樽の部屋であるが、そこから荷物がなくなるのは本当に穂樽がいなくなるのを感じてしまうため、見ないようにしてたらしいのだ。
「じゃあちょっと絵梨花さんに挨拶してくるね」
こう言って穂樽は1階の『AXIS』ゲーセン部に向かう。現在『AXIS』で働いている桑野には小さい頃から何かとお世話になっており、もちろん明日の結婚式にも招待しているが、きちんと挨拶をしておこうと考えたのである。穂樽を見送った富田とさやかであったが、さやかは紅茶のおかわりを入れるためにキッチンに向かい、富田は一旦自分の部屋に戻って、大好きないも焼酎“一どん”を手に戻ってきた。そして圧倒的ペースでお湯割りを飲み始め、ある程度飲んで今日は眠ることにしたのである。この後穂樽は『AXIS』の閉店まで正継や水無、桑野と一緒に過ごし、『AXIS』の閉店作業まで手伝った後で、今日は母親のさやかのベッドで一緒眠ったのであった。