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1996年11月26日(火)《BN》

【熊大迷宮:>>1さん部隊】
「えっと、別にそっち行かなくて良くない?」
「あ、そういえばそうか。忘れてた」
 一瞬考えた後で飯島 桜が発した言葉を聞いて、先頭を歩いていた大島 清吾が足を止めて言葉を漏らした。ここは熊大迷宮。>>1さん部隊は本日も探索を行っており、先週地下3階のボスであるサラダバーのクリアに成功したので、本日から地下4階探索が開始になる。そこで現在地下1階の中央付近にいるが、そこから西側の地下2階に降りる階段に向けて大島が進んでいたのである。
「暗黒空間進めるかな」
「まあ地下1階だし何とかなるっしょ」
 今までスルーしてきた目の前にある暗黒空間エリアに侵入する扉を見つめながら大島が言葉漏らし、それに宮崎 桃が元気に返事を返す。地下1階から階下に降りる手段としては、ここから西に進んだ場所にある地下2階に降りる階段と、目の前にある扉の先に広がる暗黒空間を抜けた先にあるエレベータを利用する方法がある。エレベータを利用して降りた地下2階と地下3階の空間は非常に狭く、探索を行うに足る広さではない。なので、地下2階と地下3階の探索は階段から降りたエリアを探索する必要がある。ただ地下4階については階段から降りるエリアはあるものの、エレベータから降りたエリアの探索だけでも十分なのである。問題は魔術師の光球の魔法も無効にして、全く視界がなくなる暗黒空間を進む点であるが、見えないとはいえ地下1階の亜獣しか出現しないので、地下3階のボスまで倒している部隊にとっては何でもないことなのであろう。
「じゃあ行きますか」
 隊長の森下 翼が決断の言葉を吐き、これを聞いた隊員たちは大島を戦闘に暗黒空間へと侵入する。
「本当に何も見えない」
「前方から亜獣3体」
 視界が完全に消失したタイミングで細川 舞美が言葉を漏らし、その後に森下が亜獣の存在を申告する。これを聞いた戦士たちは精神を集中して亜獣を待ち構える。すると目は全く見えないが、何となく亜獣の存在を気配で感じることが出来ることに気づく。今までは目が見えていたので感じることに気づかなかったのであろう。結果この3体は緑鬼であり、簡単に倒すことができた。そして物質を回収してエレベータに向かう。
「エレベータ発見!」
 視界の先にエレベータを見つけた飯島が言葉を叫ぶ。そしてエレベータまで移動して全員が乗り込んだ。
「地下4階まで降ります」
 こう口にした森下がレバーを3回下に下げる。
ウーン、ウーン、ウーン
 何ともいえない音を出しながらエレベータは地下4階に到着した。この後は東側にあるエレベータ手前の扉の罠解除を森下が試し、まだ解除できないことを確認する。そして西側に向かう途中で亜獣と遭遇し、何とか倒すことに成功した。さすがに地下4階なので亜獣も強く、気を引き締める必要がありそうである。結果この後もう1回だけ亜獣と遭遇、戦闘を行い、地下4階の初探索を終えるのであった。

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