1999年11月18日(木)
【熊大第1迷宮:カイジさんごめん部隊】
「お疲れー。物質回収します。クリアできるんじゃ?」
物質回収に向かいながら角谷 紀明がこう話しかけて来たので、糸賀 友加はそれに笑顔で返した。ここは熊大第1迷宮。カイジさんごめん部隊は本日も地下7階を訪れており、ボスであるペケ戦を行っている。現時点で勝部 義宏と柴山 亜祐子はすでにペケをクリアしているので、残る糸賀がクリアすれば地下7階探索も終了する。そして現在本日2回目の戦闘をほぼダメージを喰らうことなく終了したのである。
「少しだけ喰らったかな?回復するよ」
部隊の場所まで戻ると角谷 紀明がこう声をかけて来たので、糸賀は回復を依頼する。実際ダメージはほとんど喰らってはいないが、物質回収が終わった後にまた再戦する予定なので、一応全回復をお願いしたのだ。
「多分、クリア出来てると思うな」
「私もそう思う」
後方から戦闘を眺めていた勝部と柴山が感想を述べる。これを聞いて糸賀も次のカエルの彫像移動でクリアできるのではないかと確信する。そうこうしていると角谷が物質回収から戻って来たので、糸賀は再度カエルの彫像の場所まで移動し、彫像を移動した。
「糸賀、お前が帰ってくるのを待っていた」
優しい表情を浮かべながら言葉を発したペケがゆっくりと消滅していく。これで糸賀もペケをクリアしたことになるのだ。
「友加おめー」
後方から柴山と水井 華代の祝福の声が響く。それに気づいた糸賀は笑顔とサムズアップで気持ちを返した。
「さて、これで地下7階クリアだな。次回から地下8階に降りますよ」
糸賀が戻ってきたタイミングで勝部が状況を説明する。毎回のことであるが、新しい階層に進むのは期待と不安が入り混じった感情が湧いてくる。ただそこは冒険者なので、期待の方が大きいのは間違いなく、ここにいる全員も来週が楽しみで仕方が無い気持ちなのであろう。
「じゃあ地下7階クリア記念で今日は飲みましょうかー。隊長の奢りで」
毎回階層クリア時に行う飲み会の本日開催を柴山が提案するが、それを聞いて水井が返事を返す。
「ごめん、今日はちょっと予定があるので、明日とかでどうでしょう」
この言葉を聞いて部隊のメンバーは自分の予定を頭に浮かべ、全員明日で問題ないことが判明したので、地下7階クリア記念飲み会は明日行われることになったのであった。