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1999年11月1日(月)
【熊大第3迷宮:だんごだんごだんご3兄弟部隊】
「では地下2階に降ります」
下に降りる階段を前にして隊長の鳥海 新一がこう言葉を発して、先頭で階段を降り始める。ここは熊大第3迷宮。先週地下1階のボスであるモグラをクリアしただんごだんごだんご三兄弟部隊は、本日から地下2階探索に入ることを決めており、まずは階段にかけられた罠を大和田 廣が華麗に解除した後で、現在階段を降りている状況なのである。
「ここが地下2階か」
「やはり地下1階とは違うな」
階段を降りてすぐに僧侶の山木 可奈絵が言葉を漏らして、それを聞いた魔術師の大宮 弘典も感想を述べる。今回初めて下の階に進むという事象を体験し、階による迷宮内に充満する物質の濃度の違いを敏感に感じているのである。もちろんこれは迷宮内の特殊物質を通常的に利用する後衛の3人が感じるものであり、戦士の3人はこの特殊物質の濃度についてはあまり感じることができない。なので戦士にとって地下1階と地下2階の違いはその迷宮の造りと見た目ぐらいということになる。
「それでは探索を開始しましょう」
この鳥海の言葉を聞いて、大和田が亜獣探知に集中する。とりあえず近くを彷徨いている亜獣はいないようだ。階段を降りてから東側に少し進むと右手に扉が見つかる。この扉を大和田が調べてみたが、罠はかかっておらず、扉の奥に亜獣が複数頭いるようだ。
「じゃあ開けるよ」
こう言って鳥海は扉を思い切り蹴破り部屋の中へと侵入する。そこには可愛らしい亜獣が大量にうろうろしていたが、冒険者たちの存在に気づいて急に凶暴になり、攻撃を仕掛けてくる。
「催眠」
亜獣に対して大宮が催眠を唱え、数体の亜獣がバタバタと倒れ伏す。そして戦士3人が両手剣を構えて亜獣に向かっていった。この亜獣はオカピであり、1体1体はあまり強くはないが、大量に群れているので、戦士達は複数体を同時に相手しないといけない。だが、攻撃力自体もそこまでないので、攻撃を喰らったとしてもダメージ自体は微々たるものである。この後は1体1体地道にオカピを倒して行き、最終的には全滅に成功した。
「物質回収します」
こう叫びながら大和田が物質回収に向かい、戦士3人は山木に回復を依頼する。この後もしばらく地下2階を彷徨いて、4回ほど戦闘を経験する。これである程度満足感を得たのと、少し疲労も溜まって来たので、本日の探索を終えることを決めて迷宮を後にしたのであった。