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2024年8月20日(火)《GB》

《最近結石が発生する頻度が増えて来た気がする。1ヶ月前になったばかりなのに。結石製造器かな》
【南地区レストラン:川崎 健介・村川 梨花・中尾 華・大塚 瀬名・福田 太陽・富田 穂樽】
「あ、ちょっとやばいかも」
「どうしたの、体調悪い?」
 何やら手を腰あたりに回して少し痛そうな表情をしている川崎 健介が言葉を漏らし、心配そうに村川 梨花が声をかけた。ここは『南地区レストラン』。お昼過ぎの時間であり、たくさんの客で店内は賑わっている。最強のヒーロー部隊のメンバーは、午前中第5迷宮地下5階を探索し、探索終了後、昼食を食べに『南地区レストラン』にやって来たのである。朝起きた時から少し体調に異変を感じていた川崎であるが、単なる腹痛かなと思いあまり気に留めていなかった。そして探索中も違和感はあったものの、特に症状も変わらなかった。だが、先程から少しずつ右脇腹の背中側に痛みを感じ始めたのである。実は川崎はこの症状には経験があり、何度か体験している尿路結石の初期症状のようなのだ。見る見る表情が厳しくなる川崎を見て、メンバーたちが心配を始める。
「病院行くなら車だすよ」
「そうだね。とりあえず準備しとこうか」
 立ち上がって声を出した福田 太陽に、富田 穂樽が指示を出し、これを聞いた福田は車を準備するために一足先に退店する。
「健介くん歩ける?」
「私と華で運べるかな」
 苦しそうに俯いている川崎に大塚 瀬名が声をかけ、もし自力で歩けなかった時を想定して村川は自分と中尾 華とで川崎を運べるかどうかを心配する。川崎は戦士の中でも体が大きいので、同じ戦士とはいえ村川と中尾が肩を貸して運ぶのはそう簡単ではないようだ。
「大丈夫。歩けはする」
 こう川崎がか細い声で返事を返したので、歩けないほどの症状ではないことがわかり、多少安心する。そうこうしているうちに車を撮りに行った福田が戻って来たので、店を出て福田の車に乗り込むことにした。とりあえず運転手の福田の助手席に村川が座り、後部座席に川崎と中尾が座ることとなる。
「じゃあ気をつけてね」
 運転席の福田に富田が声をかけた後で、車はゆっくりと出発した。この後は川崎のかかりつけの病院で診察を受け、症状的に尿路結石で間違いないと診断を受ける。そして、痛み止めの注射と点滴が終わった頃には、おそらく石が流れたらしく、痛みも解消したのである。ちなみに恐ろしいぐらいの激痛が走る尿路結石であるが、この痛みの原因が何かわからない状況だと非常に不安な気持ちになる。もっと別のやばい病気だったらと考えると気が気ではなくなるのだ。なので、どんなに激痛が走ろうともそれが尿路結石であれば、なんとなく安心できるのはもう尿路結石のプロと呼んでも差し支えないであろう。

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