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1999年6月21日(月)

【熊大第3迷宮:だんごだんごだんご三兄弟部隊】
「うーん、やっぱり緊張するな」
「この緊張感も楽しまないとねー」
 迷宮に入る準備をしながら鳥海 新一が発した言葉に寺川 紗矢佳が笑顔で声をかけた。ここは熊大第3迷宮。本日から探索を開始するだんごだんごだんご三兄弟部隊は迷宮の入り口で探索の準備を行っている。しっかり鍛錬も行ってきたし、迷宮についての予習にも余念がないので、ここに来るまでは結構余裕な気持ちでいたのだが、実際に迷宮を目の前にするといろいろな感情が湧いてくるのである。
「鳥海氏ー準備良いよ」
「俺らも準備できた」
 僧侶の山木 可奈絵と罠解除士の大和田 廣、魔術師の大宮 弘典が探索への準備が出来たことを報告したので、鳥海は自分を先頭に迷宮内へと侵入する。
「まずは海蛇だな」
 こう言いながら鳥海は迷宮中央部にある大きな水たまりへと近づいていく。この水場の水際には海蛇と呼ばれる亜獣が存在しており、第3迷宮を探索する冒険者が戦う最初の亜獣としておすすめだと言われているのである。
「左前方の水際にいますね。3体です」
 亜獣の気配を感じて大和田が報告する。それを聞いて、部隊全員が慎重に少しずつ水際へと進んでいく。するといきなり目の前に3体の海蛇が出現した。
「催眠」
 まずは大宮が海蛇に催眠を唱えたが、海蛇は眠ることなく、戦士3人を目掛けて向かって来る。
「良し、落ち着いて倒すぞ」
 冷静に鳥海が指示を出し、それを聞いて寺川と稲嶺 泰葉は気合を入れて海蛇戦を始める。結果、多少ダメージは喰らったものの、無事に海蛇を消滅させるのに成功した。
「お疲れー。物質回収します」
 初物質回収に向かう大和田が声をかけ、戦士3人は少し喰らったダメージを山木に回復してもらうために場所を移動する。この後、入り口付近を少しうろついて、何度かアラビア風の亜獣と戦闘を行い、キリが良いタイミングで初探索を終えることにした。ちなみに、この部隊では女性は男性を〜氏と呼んでおり、鳥海氏、大和田氏、大宮氏と呼ばれている。男性は普通にさん付けで呼んでいるので多少の違和感はあるが、大したことではないので、別にこのままにしているのである。

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