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1998年7月2日(木)

【魔術師鍛錬場:本田 仁・高松 準也・島 可南子・細川 舞美】
「俺もいろいろ試してはいるけど、おそらく今の迷宮内の物質だと頭打ちだと思う」
「特に必要もないですしね」
 真剣な表情で発した本田 仁の言葉に、高松 準也が自分の考えを続けた。ここは午前中の魔術師鍛錬場。本日もたくさんの魔術師が鍛錬を行っている。現在魔術師の最上位呪文は単体攻撃魔法のティリオス、範囲攻撃魔法のTNT爆発、移動系魔法の瞬間移動、特殊系魔法の奇跡であり、本田がティリオスを習得してから約3年が過ぎている。その3年の間、これらの効果を上回る呪文は見つかっていないのだ。ただ、第1迷宮と第2迷宮の探索だと、ここまでの呪文があれば充分ではあるので、これ以上の魔法が必要かといえばそうでもない。
「たらればの話しにはなるけど、私たちが探索できる新しい迷宮が発見されたら、もしかしたら今以上の魔法ができるかもしれないですね」
「そこまで行けるかな」
 少しワクワクした表情で島 可南子が口にした言葉を聞いて、細川 舞美はため息混じりにこう述べた。細川はまだ第1迷宮地下9階レベルであり、まだ第2迷宮探索にすら入っていない。その次の迷宮を言われても全く想像ができないのだ。
「第3迷宮が第1迷宮と類似しているということは、おそらく第2迷宮と類似している迷宮もあるんだと思う。そして、4つ迷宮があるのであれば、5つ以上あっても不思議はないな」
 そう言った後で、本田はお茶で喉を潤す。ある程度体力も回復したので、4人は休憩を終え、鍛錬を再開することにした。

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