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1996年12月4日(水)《BN》

【子飼娯楽センター:富田 剛・本田 仁】
「だって最近遊びに誘ってくれんじゃん」
「それはこっちのセリフですよ」
 作業的にリールを回しながら声をかけてくる富田 剛の言葉に、本田 仁は強めに返事を返した。ここはパチンコ屋『子飼娯楽センター』。14時を少し回った時間であり、近所のおじ様おば様達を中心にたくさんの客が遊戯を楽しんでいる。本日午前中魔術師鍛錬場でいつも通りの鍛錬を行った本田は、富田から昼ごはんを一緒に食べようと誘われていたので、待ち合わせ場所の『煉瓦亭』へと向かう。するとすでに富田はテーブル席に座って待っていたので、その向かい側に座った。そしてお互いに食べる物を注文し、とりあえず一息ついたのである。そして食事中富田は開店予定のゲームセンターについて本田からいろいろと情報を入手する。一応富田が開店予定のゲームセンターは冒険者組織所属の娯楽施設の一環という扱いなので、本気で売り上げを考えて儲けようとする必要はない。売り上げよりも冒険者たちが冒険や鍛錬で溜まったストレスを発散する場としての意味合いが大きいのである。そのためのレイアウトをプロゲーセニストである本田に意見を求めているのだ。ある程度話がまとまった辺りで食事も終了し、店を出ることにする。この後はそれが当然でもあるかのように子飼橋の方面へと歩き出して、子飼交差点手前の『子飼娯楽センター』へ入店する。そしてひとしきり店内を彷徨いた後で、スロットのゲッターマウスに並んで座ったのである。
「だって富田さんは新婚さんいらっしゃいですからね。なかなか誘いづらいですよ」
「そんなもんかね。気にせんでいいのに」
 自分からは遊びに誘わない理由を本田が口にし、それに富田がため息をつきながら返事を返した。このタイミングで本田の台にボーナスが成立し、ねずみ下段テンパイからジローを揃えてビッグボーナスがスタートする。それを見ながら富田は7枚目の漱石をサンドに投入するのであった。

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