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1998年5月(まとめ)

1998年5月19日(火)
【旧熊大理学部地下3階:谷口 竜一】
「本当だ、扉が開いている」
 谷口 竜一は目の前の扉が開いているのを確認した。その扉は今まで決して開くことのなかった扉であり、その奥に何があるのかは全く不明である。その扉は旧熊大理学部地下2階のブロックの階段を下りて左側に存在している。また、その扉の上には大きな文字で“TEMPLE”と書かれているが、それが何を意味するのかは今を持って大きな謎のままである。しかし、このブロックには開かずの扉が後2つ存在し、それぞれ“ARINA”“GATE”と書かれているところを見ると、何かの意味があるのかもしれない。谷口は扉を開けて、中を覗いて見た。
「これは・・・迷宮・・・?」
 扉の奥にはかつて谷口が冒険者だったころに良く目にした迷宮と思われる空間があった。
「とにかく、詳しい調査が必要だな。」
 そういって、谷口は一旦扉を閉め、その場を立ち去った。この迷宮こそのちに熊大第3迷宮と呼ばれる迷宮である。

1998年5月20日(水)
【旧熊大理学部地下3階:谷口 竜一・前田 法重・本田 仁・桜井 鼓美】
「考えられる点としては・・・性別か?」
 旧熊大理学部地下二階ブロックの迷宮通称「TEMPLE」の入口を調査していた前田 法重が一つの可能性を口にした。扉から中へと続く通路の途中に、熊大第2迷宮の入口に存在していたような見えない壁があった。もし熊大第2迷宮と同様の壁ならば、普段着で来ていた前田や本田 仁は通過できるはずなのであるが、進入を拒まれた。また、同様に谷口 竜一も通過することは出来なかったが、同行していた桜井 鼓美は何事もなくその壁を通過することが出来たのである。
「可能性はありますね。とにかく俺たち3 人と、桜井さんとの相違点を考えていけばおのずと答えが出てくるはずです」
 4人はとりあえず一旦引き返し、冒険者や組織職員を数名連れてきて調査を行った。その結果わかったことは、組織職員はほぼ全員が通過することができ、冒険者はほとんどが通過することが出来なかった。しかし、18 期で入ってきた冒険者達は壁を通過することができることが判明した。
「謎はすべて解けた!じっちゃんの名にかけて!」
 本田は大声でそう叫んだが、そこにいる全員がすべて謎を解明していた。すなわち、熊大第1迷宮と熊大第2迷宮に足を踏み入れたことのある冒険者は、この迷宮に足を踏み入れることが出来ないのである。結果、18 期の冒険者がこの迷宮を探索する先駆者となることが決定したのである。

【道:前田 法重・中島 一州・森下 翼・飯島 桜・本田 仁】
「でも、かなり危険だよな~初心者がいきなり未知の迷宮を探索するって言うのは。」
「確かに、下手したら死傷者が続出するかもしれませんね。」
 前田 法重の言葉に本田 仁が熱燗を飲みながら答えた。
「でも前田さんたちが1 期生として迷宮を探索し始めた時も同じような境遇といえば境遇なんですよね」
 飯島 桜が前田のお銚子に熱燗を注ぎながら質問した。
「全然違うよ!だって18 期には俺様がいないんだよ。」
「うう・・・烏合の衆」
 前田の言葉によくわからない突っ込みを入れた本田であったが、確かに1 期生と18期生をくらべると、18 期生のほうが多少見劣りするのはたしかである。しかしそのようなことは言っても仕方がないことなのは、ここにいる全員が理解していた。
「とにかく、18期の奴らには安易に迷宮探索に進まないように回りが指導してあげることが大事だ。今でこそ早い奴らは1ヶ月も経たないうちに迷宮に入っていくが、それはある程度安全が確認されているからであって、俺たちだって、迷宮に入るまでに3ヶ月ぐらいは訓練をしていたからな」
 そういって熱燗をぐいっと喉に流し込んだ前田は言葉を続けた。
「冒険者の安全確保のために全冒険者で18 期のバックアップを行って、なるだけ死傷者がでないように、俺たちが中心となって頑張っていこうか」
 前田のこの言葉を聞いて、そこにいた全員がうなずいた。

1998年5月21日(木)
【戦士鍛錬場:前田 法重・中尾 智史・大島 清吾・飯島 桜】
「それにしても、若い衆がなかなか伸びてこないよな」
「戦士は特に13 期以降は飛びぬけた才能を持つのが入ってきてないんですよね」
 前田 法重のつぶやきに、中尾 智史がため息混じりにこう答えた。午前も11 時をまわり、太陽が戦士鍛錬所である体育館にまぶしい光を注ぎ込んでいる。朝9 時から鍛錬を始めた前田は少し一休みといった感じで近くのベンチへ腰掛けた。するといつものように前田ファミリーがその周りに集合してきている。
「で、18 期はどうよ?中尾教官殿」
「結構いいと思いますよ。さすがに13 期と比べるとかわいそうですけど、なかなか見所のあるのが何人かいます。なあ、清吾」
 大島 清吾はだまってうなずいた。今年は最終選抜試験を中尾と一緒に行ったので、全員のデータを把握している。その中で大島の目にとまったのが4人いた。男3 人に女1人である。
「そうそう、飯島が一人18 期の女の子の面倒を見てなかったっけ?」
 前田はとなりに座っていた飯島 桜にこう質問した。
「あ~松っちゃんのことですね。妹の中学の時の同級生で、昔から良く知っているんですよ。高校の時になぎなたをやっていたので、剣速はなかなかのものがあります。まだまだ荒削りですけどね」
 そういいながら飯島は持参したお茶で喉を潤した。ちなみにこの松っちゃんという女性は大島の目にとまった4人に入っている。

1998年5月22日(金)
【旧熊大生協:井上 貴志・栗原 慎】
「まあ俺は両手剣でいいとして、慎はどうするんだ?」
  旧熊大生協部にある武器展示販売コーナーにやってきた井上 貴志と栗原 慎は、今後迷宮に入る時に使用する武器をどうしようかと考えていた。高校時代剣道で全国一位となった井上は当然剣道スタイルでの戦いになるので、とりあえず両手剣の中から選択することは決定している。後は機能と相性により選べばよいと考えている。しかし問題は栗原の方である。元来栗原は空手が得意であり、剣道に関しては今回の入団試験のために特訓を行った程度で、あまり得意ではない。それでも他の冒険者を蹴落としてきちんと合格するあたりは生来の格闘センスが秀でているからに他ならない。だがここは熊大迷宮。一歩間違えると命を失うところである。栗原は自分の剣術が亜獣に通用するという自信は持てなかった。
「できれば空手スタイルで戦いたいと思ってるんだけど、問題は武器をどうするかだな・・・まさか素手というわけにもいかないだろうし」
 この後二人はしばらく武器展示コーナーを見て歩いたが、ナックル系の武器の存在を見出せず、すごすごと生協を後にした。

1998年5月23日(土)
【細川邸:細川 舞美・島津 亮二】
「ちょっと遅くなったけど、合格おめでとう。亮ちゃん。」
 細川 舞美は18期試験に合格した島津 亮二にこういいながら、合格祝いを手渡していた。
「舞姉ありがとう。これでやっと同じ土俵に立てたってわけだ。」
 亮二はそういいながら合格祝いを内ポケットに入れ、目の前のご馳走に箸を伸ばした。細川家と島津家は時代をさかのぼると敵対の関係であったが、近年はお互いを認め合い、ちょっとした親戚関係のような間柄になっている。舞美と亮二も幼い頃からの付き合いがあり、兄弟のように仲良く成長してきた。今日は亮二の合格祝いということで、舞美の実家でパーティーが行われている。
「すぐに舞姉に追いついて、俺が舞姉を守れるぐらいに成長して見せるからね」
「そう簡単にはいかないと思うけど、まあしっかり頑張って頂戴ね」
 舞美はそういいながら笑っていたが、亮二の幼い頃からの万事に対する才能を考えると、いずれ自分を超える魔術師になるのは間違いないと思っていた。

【報告:浦田 舞】
お疲れ様です。浦田です。
本日時点の各部隊の状況を報告いたします。
 
◆黒髪てへトリオ部隊
└第2迷宮 クリア済
◆湘南爆走隊 
└第2迷宮 地下3階探索中
◆ <<1さん部隊
└第1迷宮 地下9階探索中
◆華撃団Ⅲ部隊
└第2迷宮 地下9階探索中
◆いつかは最強いつでも最強部隊
└第2迷宮 地下9階探索中
◆人類補完計画部隊
└第2迷宮 地下7階探索中
◆黄金勇者部隊部隊
└第1迷宮 地下6階探索中
◆勉強はもうコリゴリダー部隊
└第1迷宮 地下5階探索中
◆カイジさんごめん部隊
└第1迷宮 地下3階探索中
◆勇者王ガオガイガー部隊
└第1迷宮地下2階探索中
◆もののけ姫部隊
└第1迷宮地下2階探索中
◆リリスかわいい部隊
└第1迷宮地下2階探索中
◆メガレンジャー頑張れ部隊
└第1迷宮地下2階探索中
◆ 絶対運命黙示録部隊
└未探索
◆ イナバウアー部隊
└未探索
◆電車でGO部隊
└未探索
◆特別な週間部隊
└未探索
◆ギンガマン応援部隊
└未探索 
◆ 絶対運命黙示録部隊
└未探索
◆ イナバウアー部隊
└未探索
◆電車でGO部隊
└未探索
◆特別な週間部隊
└未探索
◆ギンガマン応援部隊
└未探索
 
※特記事項
・特になし
 
以上、ご確認お願いいたします。
 
1998年5月25日(月)
【旧熊大生協書籍部:内田 佳奈美・飯島 志保】
「はい、130円のおつりですね。ありがとうございました」
 旧熊大生協部書籍コーナーで働いている内田 佳奈美は今日も元気にレジ打ちをこなしていた。一年前の書籍部全面改装の結果、本の品揃えが格段に多くなり、今では一般の本屋さんには負けないほどの品揃えを誇っている。
「あの~内田さんですか?」
 130 円をもらって帰ろうとしていた女の子は、何か思い出したように振り向いて内田にこう問いかけた。内田は軽く微笑みながらうなずいた。 「やっぱりそうでしたか~。あの~飯島 志保といいます。いつも姉がお世話になっております」
 その女の子はそういって頭をペコリをさげた。この飯島 志保と名乗った女の子は、13 期の戦士飯島 桜の妹である。
「あ、あの飯島さんの妹さんでしたか。こちらこそお姉さんにはお世話になってます。」
 内田はそういいながら、改めて飯島を眺めた。姉の桜は冒険者組織でも噂になるほどの美形の持ち主であるが、妹の志保も負けず劣らずの美形である。しかし、系統的には姉の桜が健康的でさわやかな美しさを持つのに対して、妹の志保はどこかたよりなさげな部分を有している。
「いえいえ、内田さんの話は姉からよく伺うんですよ。本当にお世話になりっぱなしで、申し訳ないって言ってました。」
 そういって飯島はにっこりと笑った。
「ところで・・・あの・・・」
「志保でいいですよ。」
「志保ちゃんはお姉さんと一緒で剣士なの?」 「そう見えますか?でも残念ながら(?)罠解除士なんですよ。本当は姉と一緒に剣士になりたかったんですけど小さい頃からちょっと心臓が弱くて、あまり激しい運動は出来ないんですよ。」
 先ほどから内田が感じていたたよりなさげな部分の理由が理解できた。本質的に体が弱いのだ。しかし罠解除士とはいえ、冒険中には多大な体力を消耗する。大丈夫なのだろうか・・・内田は心配になった。
「その・・・大丈夫なの?冒険ってかなりの体力を使うんだけど。」
「大丈夫ですよ。私の心臓はまだ動いてますから。」
 笑顔でそう答えた飯島は、他の客が来たのを察して深々と頭を下げ、その場を立ち去っていった。

1998年5月26日(火)
【ゲーム&喫茶アクシズ:富田 剛・富田 さやか・本田 仁・大塚 仁・細川 舞美】
「はい、お待ちどうさま。本田さんが牛丼で大塚さんがチキンカツ定食で、舞美ちゃんがミートソースでしたね~はいどうぞ!」
 明るい店内に富田 さやかの大きな声が響き渡る。 ここは、居酒屋『道』のちょうど道を挟んで反対側にあるゲーム&喫茶『アクシズ』。もともとここには一夜塘公園と呼ばれる小さな公園があったのだが、利用者も少ないということで、富田 剛が土地を買い入れ、そこに店を構えた。1階の店内は喫茶店エリアとゲーセンエリアに分かれており、主に松浦が喫茶店エリアを担当し、富田がゲーセンエリアを担当している。また、この建物は4回建であり、2階に雀荘部屋とゲストルーム、3階が大塚家の住居、4階が富田家の住居となっている。
「うーん、あいかわらずさやかちゃんが作った牛丼はうまい!富田さんが作ったのとは大違いだ」
「チキンカツのこの微妙な揚げかげんも芸術的ですよね。富田さんとはえらい違いですよ」
「えっと・・・私も言うんですか?うーん・・・とにかくさやかちゃんが作ったほうがおいしい気がします」
 本田 仁、大塚 仁、細川 舞美が順にさやかの料理の腕をたたえた。いつものことであるがとなりで聞いている富田はなんとも言えない表情を浮かべている。しかし慣れっこになっているので、いちいち腹をたてたりはしない。富田も大人になったものだ。
「さて、お腹も大きくなったことですし、対戦でもします?富田さん」
 本田が富田にそう問いかけると、それが当たり前のように対戦台へと向かって行った。

1998年5月27日(水)
【戦士鍛錬場:中尾 智史・井上 貴志】
「じゃあ今日はこれぐらいにしておこうか」
「はい、ありがとうございました」
 模擬戦を終えることを告げた中尾 智史の言葉を聞いて、全身汗だくの井上 貴志は礼を述べるとともに、丁寧にお辞儀をした。ここは午後の戦士鍛錬場。数人の戦士が鍛錬を行っている。通常中尾は自分の鍛錬を午前中に行うのだが、井上のたっての願いで午後の時間を利用して模擬戦に付き合ってあげた。井上は礼儀正しく、剣に対しての姿勢も一途であり、中尾は井上を結構気に入っている。
「やっぱり僕ぐらいのレベルじゃまだまだなんですね」
 タオルで汗を拭きながら、井上が尋ねた。中尾は多少息を乱しているが、そんなに汗はかいていない。
「井上君はまだ冒険者になりたてだからね。通用しちゃったらこっちが困る」
 笑顔を浮かべながら中尾がこう口にする。
「でもなかなかいいセンスしていると思うよ。スタイルもほぼ確定しているから、後は実践を積めばどんどん強くなるよ。楽しみだな」
 そう話した後、中尾はシャワールームへと足を運んだ。

1998年5月28日(木)
【北食2階:井上 貴志・栗原 慎・松 美由紀・飯島 志保・中村 瞬・島津 亮二】
「というわけで本日の話し合いはこれにて終了ということで」
「後は流れ解散ですね~」
 井上 貴志の言葉に、飯島 志保が答えた。ここは冒険者用レストラン『北食2 階』。18期メンバーで構成されている絶対運命黙示録部隊はここで集会を開くことを常としていた。内容としては現状の把握と、今後の活動予定を昼食を交えながら話し合うことである。ちなみにメンバーは戦士が隊長の井上 貴志と栗原 慎、松 美由紀、罠解除士が飯島 志保、僧侶が中村 瞬、魔術師が島津 亮二である。また、絶対運命黙示録という部隊名は以前の集会の際に決定されたものであり、部隊名をみんなで悩んでいたところに、飯島がこの歌を口ずさんだのを聞いて、全員がそのフレーズを気に入り、この名称に決定したのである。
「ところで、今から皆さんどうされるんですか?良かったらどこかに遊びに行きません?」
「いいね~ボウリングにでも行こうか、この前の借りを返さないといけんしね~」
 島津の言葉に、栗原が返事を返した。栗原は前回島津とボウリングの勝負をして僅差で負けたことをいまだに根に持っているのだ。
「じゃあVIPにでも行きましょう。他の方々はどうされます?」
「俺はつきあうよ~今日は特に用事もないし」
「僕も行きますよ」
 井上と中村が一緒に行く旨の返事をした。
「志保ちゃんどうする?行く?私は行こうと思っているんだけど」
「松っちゃんが行くなら私も行く~」
 このような流れとなり、全員でVIPへ向かうことになった。ちなみにボウリングの結果はまた僅差で栗原は島津に勝つことが出来なかった。

1998年5月29日(金)
【熊大第2迷宮:黒髪てへトリオ部隊】
「それでは作動させますね~」
 大塚 仁の合図と共に、全員が戦闘態勢に入った。ここは熊大第2迷宮地下6 階“鏡の間”。熊大第2迷宮はすでに6  階までの完全マップが完成しており、探索自体は完了しているという認識となっている。残す謎としてはこの鏡の間に存在する大きな扉だけなのであるが、この扉はそもそも扉なのかどうかも不明のままである。ただ、この部屋には壁沿いに大きな鏡がいくつも並んでおり、これがこの扉を開ける鍵ではないかと考えられている。そしてこの鏡というのが特殊で、罠解除士が鏡に手を当て念を発すると、その鏡の中からどうしたことか亜獣が発生してくるのである。これまでもこの鏡からは本当に様々な亜獣が発生してきた。歴史上の人物を模倣した亜獣、漫画、小説の登場人物を模倣した亜獣がその例である。なぜこの鏡からそのような亜獣が発生してくるのであろうか。この鏡の分析は長い間続けられてきているが、今だに原因は解明されていない。一番有力な説としては、その部屋に入っている冒険者達の真相意識の中から亜獣としてふさわしいと思われるものを鏡が具現化しているというものだが、それも眉唾ものである。
「何がでるかな?何が出るかな?」
 本田 仁が軽く歌いながら亜獣の出現を待っていた。すると鏡の中から亜獣が現れてくる。亜獣は人型で4体いるみたいだ。
「何かえらく弱そうだな」
 出現した亜獣を見て前田 法重が思わずつぶやいた。それを聞いて中島 一州と中尾 智史も怪訝な顔でうなずいている。亜獣は普通の人間っぽく、装備も粗末なもので、武器も簡単な棍棒程度なのだ。
「とりあえずお約束で聞いてみるか・・・名を名乗れ!!!!」
 原田 公司がお約束の言葉を投げかける。すると4 体の亜獣は声をそろえてこう言った。
「オニキス目指してがんばりましょう!」
 そういって亜獣は霧のように消えていった。全員があっけに取られ、しばしの沈黙が部屋を覆った。そして次の瞬間、一人を除く全員が同様の言葉を叫んだ。
「本田~」
「本田く~ん」
「本田さ~ん」
「俺っすか!?」
 良くわからない原因の責任をかぶせられ納得いかない本田であった。

1998年5月30日(土)
【道:前田 法重・前田 雅美・中尾 智史・森下 翼・大島 清吾】
「あ、遅かったね。中尾君と大島君と森下君が待ってますよ」
 前田 法重が入口を開けると、いつものように前田 雅美の明るい声が店内に響く。前田は左手を軽くあげ、合図を送ると、そのままいつもの席へと直行した。ここは居酒屋『道』。本日もたくさんの客が美味しいお酒と料理を求めて訪れている。先ほど声を上げた雅美は1996年に熊大第2迷宮の探索が終了した際に、富田 剛と一緒に引退している。そして、この居酒屋『道』を手伝う様になっているのだ。また、昨年無事に思い人と結婚し、前田姓になっている。
「前田さん。お疲れ様です。遅かったですね~前田さんが来ないのかと思って僕悲しくなってきてましたよ」
 中尾 智史がそういいながら、前田の座る席に座布団を置き、迎え入れた。
「お疲れ様です~」
  森下 翼と大島 清吾も前田が席に着くと同時に挨拶し、乾杯の準備をし始めた。
「あれ、他の奴らは?」
「一州さんと原田さんと本田さんと大塚さんは富田さんのところにいましたよ。そろそろ来ると思うんですが・・・」
 中尾がそう言ったちょうどその時『道』の入口が開き、いつものメンバーがぞろぞろとやってきたのである。

1998年5月31日(日)
【報告:浦田 舞】
お疲れ様です。浦田です。
本日時点の各部隊の状況を報告いたします。

◆黒髪てへトリオ部隊
└第2迷宮 クリア済
◆湘南爆走隊 
└第2迷宮 地下3階探索中
◆ <<1さん部隊
└第1迷宮 地下9階探索中
◆華撃団Ⅲ部隊
└第2迷宮 地下9階探索中
◆いつかは最強いつでも最強部隊
└第2迷宮 地下9階探索中
◆人類補完計画部隊
└第2迷宮 地下7階探索中
◆黄金勇者部隊部隊
└第1迷宮 地下6階探索中
◆勉強はもうコリゴリダー部隊
└第1迷宮 地下5階探索中
◆カイジさんごめん部隊
└第1迷宮 地下3階探索中
◆勇者王ガオガイガー部隊
└第1迷宮地下2階探索中
◆もののけ姫部隊
└第1迷宮地下2階探索中
◆リリスかわいい部隊
└第1迷宮地下2階探索中
◆メガレンジャー頑張れ部隊
└第1迷宮地下2階探索中
◆ 絶対運命黙示録部隊
└未探索
◆ イナバウアー部隊
└未探索
◆電車でGO部隊
└未探索
◆特別な週間部隊
└未探索
◆ギンガマン応援部隊
└未探索 
◆ 絶対運命黙示録部隊
└未探索
◆ イナバウアー部隊
└未探索
◆電車でGO部隊
└未探索
◆特別な週間部隊
└未探索
◆ギンガマン応援部隊
└未探索

※特記事項
・特になし

以上、ご確認お願いいたします。 

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