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1997年2月3日(月)《BN》
【魔術師鍛錬場:鬼塚 茉莉花・佐村 亜香里・古江 海咲・浦部 佳孝】
「みんな頑張ってー」
「頑張ってはいるんですよ」
笑顔で全員を激励した鬼塚 茉莉花の声を聞いて、佐村 亜香里が集中を切らすことなく返事を返した。ここは午前中の魔術師鍛錬場。本日もたくさんの魔術師が鍛錬を行っている。14期の魔術師たちは、本日探索中の西脇 有哉以外の4人で一緒に鍛錬を行っている。時期的にそろそろ爆発の呪文を覚える時期であり、本日探索を開始してすぐに鬼塚が爆発の発現に成功する。これで気合いの入った他の3人も次に続けとばかりに集中をしているが、浮かんだ光球が変化する雰囲気もない。そこで鬼塚が自分に続けて成功して欲しいと考えて、全員にエールを送って応援しているのである。
「何な光球が憎らしく見えてきた」
「生意気な表情してるよねー」
ピクリとも反応しない光球を見つめながら浦部 佳孝が言葉を漏らし、それに古江 海咲が感想を続けた。魔術師の鍛錬はまずは指先に光を灯すことから始まり、次に手のひらの上に光球を浮かべる。その次は目の前の空間に光球を浮かべ、そして爆発へと繋がるのである。指先から空間までは何もないところに何かを出現させるという作業であり、爆発は浮かんだ光球を動作させるというものである。毎日毎日浮かべた光球に集中するだけで時間が過ぎていき、全く変化しない光球に憎しみにも近い感覚が湧いてくるのである。
「そんな気持ちじゃ成功できないよ。光球は友達だよ」
「友達ねえ」
変な雰囲気になりかけたので、鬼塚が気持ちを変えるように発した言葉を聞いて古江が思わず言葉を漏らす。この後3人は爆発発現に向けて集中を続け、鬼塚は3人の応援を続ける。そして時間まで鍛錬を続けたが、本日鬼塚以外は爆発を発現することが出来なかったのである。