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1999年9月1日(水)
【罠解除士鍛錬場:大塚 仁・沖本 蓮香・滝川 亜佳里】
「どんな感じですか?」
「まあぼちぼちでんなあ」
見回りをしている最中に沖本 蓮香から声をかけられた滝川 亜佳里は軽く微笑みながら返事を返した。ここは午前中の罠解除士鍛錬場。本日もたくさんの罠解除士が鍛錬を行っている。今日は朝から弟子の笹井 紀夫と大和田 廣の指導を行っていた沖本であるが、本日教え込みたい内容は全て伝え終わったので、残る時間は2人で鍛錬を行うように指示を出している。そしてその間に、自身の鍛錬中に思いついた疑問について先輩罠解除士である大塚 仁に質問を行っていたのである。するとその最中に、長官の滝川が見回りにやって来たので、現在行われている21期生募集の状況について沖本が尋ね、それに滝川が答えたのである。
「普通に募集は集まってるみたいよ。能力の高さは採用してみないとわからないけどね」
正直な感想を滝川が口にする。冒険者は結構な人気職業であり、採用試験に申し込む人間もある程度の人数が毎回集まる状況である。ただ、どのような人材が集まって来ているかは今の段階では分かりようがないし、次の募集は奇数期なので、期待値的には偶数期に比べて少し下がってしまうのである。
「13期ほどではなくても、何か光る才能がある人物が入って来てほしいですよね」
「まあ、そうじゃなかったらお二方できちんと指導してあげてくださいね」
21期生に対する期待を大塚が口にするが、そうではない場合を想定して滝川が返事を返す。13期の伏龍鳳雛レベルの人材はなかなか現れるものではないので、あまり期待はしないほうが精神衛生上は良いのかもしれない。この後、滝川は他の罠解除士達に声をかけに行き、大塚は先ほど沖本に質問された疑問についてわかる範囲で丁寧に説明するのであった。