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1996年8月28日(水)《BN》

【熊大迷宮:カテジナさーん部隊】
「着きました」
「いや、ここは5階だろう」
 少し悪い表情をしながら発した立原 和貴の言葉に、磯田 健史が冷静に突っ込みを入れた。ここは熊大迷宮。先週地下5階をクリアしたカテジナさーん部隊は本日から地下6階探索に入る予定となっている。いつものように地下4階からエレベータに乗り、下に降りたタイミングで立原が言葉を発したのである。マニュアルにも記載されている通り地下5階と地下6階の作りは全く同じとなっており、その構造についてはデュアルダンジョンと呼ばれている。そのことを知っていた立原が部隊のメンバーを騙そうと思い、地下5階に降りたタイミングでそこが地下6階であるように申告したのである。ただ、地下4階からエレベータが動いた時間を考えれば、ここが地下5階なのは疑う余地もなく、立原のいたずらは企画倒れに終わってしまったのである。
「つまんね」
「はいはい、さっさと降りましょうね」
 いたずらが全く通じなかったので少し不満げな立原が漏らした言葉を聞いて、秋野 麻生がやさしく声をかける。この後エレベータは地下6階に到着し、地下5階と本当に同じ作りなのを見て、全員が多少の驚くというお約束を実行している。
「まだ無理だろうけど一応やってみます」
 エレベータ横の扉に移動して、立原が扉の罠解除を試してみる。この奥はボス部屋となっているが、降りてきてすぐに解除できるような罠ではないとも言われている。だがやってみないとわからないのも確かなので、しばらく時間を費やしたが、結果的にまだ罠の解除は出来なかった。
「和樹お疲れ。じゃあ少し彷徨くか」
 罠解除を行った立原をねぎらった後、磯田は全員に探索の再開を申告する。そして迷宮の東側の探索へと進むことにした。この後しばらく東側を探索し、特に苦戦をすることなく亜獣を消滅させていく。そしてある程度のレア物質を回収した後で本日の探索を終えることにし、迷宮を後にしたのである。

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